こんばんは、嵯峨駿介です。
僕は学生時代に御茶ノ水のお店でハイエンドギターのセットアップや販売をしていました。
以前書いたデジマートに関する記事もそこでの経験をもとにしています。
入荷したギターの状態を診たり、修理のギターを診たり、内容は色々でしたがやはり一番多かったのはお客さんに渡す直前の、それぞれのプレイヤーに合わせた微妙な調整です。
数年間の間にそれなりの経験をしましたが、僕が一番時間を使い研究し、得意なのは多弦ベース、特に5弦ジャズベーススタイルのベースのセットアップです。
(ギターのセットアップやってたって言ったのに・・・すみません・・・)
ギターや34インチの4弦ベースは大味なセッティングでも、モノが良ければそれなりに鳴ります。
(語弊がありますが、まぁそうなんです。)
ですが、34インチの5弦JBは経験上、どんなに高価な楽器でもしっかりとセッティングしないととてもプレイできる状態にはなりません。
そもそも34インチというスケール、ジャズベースの構造はLow-B弦を鳴らすことに自由なものではないのではないかとも思っています。
実際に、解消を試みて35インチのJBや、新しいデザインで根本から構造を見直したベースが存在します。
(Low-Bだけにフォーカスしているわけではないのでしょうが)
例えばこれとか……
僕はなぜか高校生の頃から5弦のジャズベースに憧れてロマンを感じて、ずーと長い間5弦ジャズベースを追いかけ続けました。
ただただ天邪鬼だったんですね。
でも天邪鬼な性格のおかげでたくさんのベースを試しました。
日本製からカナダ製、アメリカ製、数万円から数十万円……
たくさんの時間とお金を使い、思いました。
これだけ探してないのなら、それは存在しないんじゃない?
本当にないんです。
アレバコッポロもサドウスキーもその基準は満たしません。
そもそものその基準が間違ったものだからです。
5弦で弦高を低くセッティングできていい音がして……
そんなベース存在しません。
弦が正しく振動するには適切な張力が必要です。
張力が大きすぎても小さすぎても適切なサスティーン、倍音を得ることはできません。
(極端にいうと、3音下げや3音上げの状態では正しい振動はしないですよね。)
その「適切」の範囲に4弦部0すは低い弦高でもおさまりますが、Low-B弦は外れてしまうことが多いです。
プレイヤーが5弦ジャズベースに感じるものとして、第一にLow-Bの音程感、並んで違和感のなさを気にする方が一番多いのではないでしょうか。
楽器のデザインの難しい部分ですが、全ての弦に適切な張力を持たせつつ、バランスを整えつつ、トータルの音色を調整する、と。
本当に難しいです。
その楽器自体のクオリティもリペアマンの力量も問われます。
(もちろん最後にはプレイヤーの腕も。)
良いセットアップをされたギターはそうじゃない状態と比べると、信じられないほど良質です。
特に5弦ジャズベースのような神経質な楽器では顕著ですね。
長くリペアに出さずにいた楽器をしっかりセットアップしてお客さんに渡すと、こんなに良い楽器だったのか、と驚かれることも多いです。
プロアマ問わず、悪い状態でプレイしているプレイヤーがとても多いということですね。本当に。
ごたくばかりになってしまったので、今度は5弦ジャズベースにフォーカスした具体的なセットアップに関する記事を書こうと思います。
それではまた。
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