AMPEGと言えば、数あるベースアンプブランドの中でもかなりポピュラーな部類です。
ベーシストなら誰でも一度は目にしたことのある名前でしょう。
スタジオやライブハウスなどにもよく機材として設置されていたり、またアーティストの使用しているアンプとして紹介されるなど、アマチュアからプロまで広く愛されています。
この記事ではAMPEGについて、ブランドの概要やその歴史、ベースアンプの特徴、おすすめしたいモデルについて解説したいと思います。
AMPEGの概要、歴史
AMPEGはアメリカ・ワシントン州のウッデンヴィルに本拠をおく、楽器用アンプメーカーです。
専門はエレキベース用アンプですが、エレキギター用、オーケストラのアップライトベース用アンプも製造しています。
AMPEG社は、ピックアップと歪みを抑えた楽器用アンプを製造する目的で、ピアニスト・ベーシストだったエヴェレット・マイケルと、スタンリー・ハルの2名の共同経営により設立されました。
元々は「マイケル=ハル・エレクトロニック・ラボ」という社名でしたが、のちにスタンリー・ハルの独占所有となった際に、アップライトベース用に作られたピックアップ「アンプリファイド・ペグ」の名前から、社名を「アンペグ・ベースアンプ・カンパニー」と変更しました。
1960年代に人気を博したコンボアンプ「ポータフレックス」や、世界初のリヴァーブ内蔵アンプ「リヴァーブロケット」をフェンダーのヴァイブロヴァーブよりも2年早く製造するなど、AMPEGは当時としては革新的な技術で6つもの米国特許を取りました。
AMPEGは2018年5月に、当時の親会社ラウド・オーディオから、ヤマハ子会社のヤマハ・ギター・グループへとブランドが譲渡されました。
これによりヤマハはベーシスト向け製品のラインナップを拡充し、新興国へのAMPEG製品販売拡大をも見込んでいます。
AMPEGブランド製品の日本での販売及び修理・サポートは、ヤマハミュージックジャパンによって2019年10月1日から取り扱い開始されます。
AMPEGのベースアンプの特徴
AMPEGのベースアンプは、高出力でパワフルかつ、クリアなサウンドが特徴です。
ジャンルを問わない王道のベースアンプですが、イコライザーの設定の自由度も高いため、サウンドの幅広さについても高い評価を受けています。
AMPEGの持つサウンドは低音成分が比較的多めな印象なので、最初からLOWイコライザーのパラメーターを高くしすぎると、音の輪郭を損ないます。
まずはイコライザーを全て真ん中に合わせて、不要な帯域を落としていくことからはじめ、足りない部分を補ってやる、という意識を持つと音作りしやすいかもしれません。
また、数多くの有名アーティストがAMPEGのベースアンプを使用していることで知られています。
日本国外ではヴァン・ヘイレンのマイケル・アンソニーや、MR.BIGのビリー・シーン、日本国内ではX JAPANのheathや、LUNA SEAのJ、亀田誠治など、名だたるアーティスト達が信頼を寄せています。
このことからも、AMPEGのアンプの信頼性や、サウンドに対する高い評価がうかがえます。
おすすめのモデル
SVT-3PRO / ヘッドアンプ
AMPEGのSVTシリーズのベースアンプのうち、スタジオなどで一番遭遇する確率の高い、人気のモデルです。
人気の理由の一つは、チューブドライブのプリアンプと、ソリッドステートのパワーアンプというハイブリッド構成になっていることから、オールチューブよりも真空管の劣化などによるトラブルが少ないという扱いやすさです。
プリアンプ部がチューブであるため、温かみのあるサウンドの実現性も兼ね備えています。
幅広いコントロールも選ばれる大きな理由です。MIDレンジの可変帯域がFrequancyによって5種類選択できる3バンドのパラメトリックイコライザーと、必要なければバイパスもできる9バンドのグラフィックイコライザーを備えています。
加えてワンタッチでサウンドのキャラクターを変える、BRIT・ULTRA HI/LOスイッチが多彩な音作りを助けます。
また、GAIN・MASTERの入出力コントロールとは別にTUBE GAINというコントロールがあり、真空管のナチュラルな歪みを加えることができます。
SVT-4PRO / ヘッドアンプ
SVT-3PROの強化バージョンともいうべき、完全プロ仕様のヘッドアンプです。
こちらもハイブリッド構成となっており、プリアンプには12AX7という高品質な真空管を、これでもかと3本使用しています。
コントロールはSVT-3PROと大体同じですが、入力音レベルの圧縮を行うCOMPRESSIONとバイアンプ(帯域ごとに2台のキャビネット)出力する場合のコントロールや、TUNER OUTが実装されていたりと、さらにこだわりの仕様が追加されています。
PF-50T / ヘッドアンプ
コンパクトながら本格的な作りで、少しヴィンテージテイストのある「ポータフレックス」シリーズから、画期的なヘッドアンプのご紹介です。
プリアンプ・パワーアンプのどちらも真空管のオールチューブ仕様で、コントロールはゲインとボリューム、5WAYのMIDがある3バンドイコライザーとシンプル。
AMPEGらしいULTRA HI/LOスイッチも備えています。
一見ただのコンパクトなヘッドアンプですが、通常キャビネットなしで使用すると故障の原因となるところ、PF-50Tは単体での使用が可です。
これにより、自宅でのレコーディングに導入したり、あるいはチューブDIとして使用するなど、柔軟な使い方が出来ます。
PF-50Tは50Wですが、20W出力・コントロールがさらにシンプルなPF-20Tもラインナップされています。
PF-500 / ヘッドアンプ
コンパクトさが売りのポータフレックスシリーズのうち、こちらはオールソリッドステートのヘッドアンプです。
コンパクトな外見に似合わないビッグ・サウンドと、ソリッドらしいレスポンスの速さが味わえて、物足りなさを感じさせません。
PF-500にはアンプ直派にも嬉しい、コンプレッサー/リミッターがオンボードで搭載されています。
またフロントにAUDIO INとHEADPHONE OUTが用意されているあたり、自宅での練習用としても意識されているようです。
BA-210 / コンボアンプ
AMPEGのリリースしている人気コンボアンプ「BA」シリーズの最上級モデルです。
本製品は283Wの出力を持ちますが、最小クラスのBA-108が20Wと、価格や用途・出力・機能に応じた5つのクラスが用意されています。
このシリーズ共通の仕様として、横向きに置くとフットモニターのように斜めに据えることができますので、自宅やスタジオでの練習にも向いていると言えます。
BA-210にはSVTシリーズを彷彿とさせる歪みを生み出すオーバードライブ「Bass Scrambler」を搭載し、原音とエフェクト音のミックスにより自在なサウンドメイキングが可能です。
3バンドイコライザーとULTRA LO/HIはAMPEGならではの幅広い調整が可能で、様々なシーンで長く使っていける1台となるでしょう。
まとめ
AMPEGという王道中の王道のベースアンプブランドについて見てきましたが、いかがでしたでしょうか。
様々なブランドが割拠する中でその地位に甘んじることなく、伝統と革新をうまく融合させた製品を作り続けている老舗ブランドです。
ブランド名の譲渡契約後、ヤマハ傘下においてどのような展開が行われるかは不明ですが、技術交流などによる進化がある意味楽しみであるともいえます。
これからもAMPEGから目が離せません。
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