DODのエフェクターといえば、まず真っ先にイメージするのがイングウェイ・マルムスティーンでしょう。
また、ラルクアンシエルのkenのシグネイチャーモデルも生産されています。
それゆえ、テクニカルでヘヴィなフレーズを得意とするギタリスト向けのエフェクターブランドというイメージがあります。
今回はそんなDODのエフェクターについて、その概要や歴史、おすすめのモデルを紹介します。
DODの概要と歴史
1973年に設立されたDODは、MXRと並ぶアメリカの2大老舗エフェクター・ブランドでした。
「でした」というのは2008年、業績不振によりエフェクターの生産を停止、同じくハーマンを親会社に持つデジテックにメインの生産ラインを移行することになったからです。
その後、ハーマンの部門長であったトム・クラムは会社にも極秘でDODの復活プロジェクトを進め、2013年に公式に復活を遂げます。
しかし、2016年今度はハーマン自体がサムソンに買収されることになり、以降デジテック、DODの生産ラインとも縮小されてしまいます。
大会社の経営状態に振り回された悲劇の技術者集団、それがDODです。
DODのエフェクターの特徴
特にDOD FXシリーズは総数100種類を越え、さらに型番は同じでもルックスが微妙に違ったり、時には違うバージョンで発売されたりと、生産者自身が全てを把握しているのか疑わしいほどのバリエーションです。
とはいえ闇雲に大量生産をしていたわけではなく、特に歪み物はオールドで粘りのあるオーバードライブから、ザクザクしたメタリックなディストーションまで、各ペダルはしっかりとした個性付けがされています。
また多くのペダルにトゥルーバイパス設計を採用し、音痩せが少ないのも特徴的です。
ブランドの歴史上、現行モデルが手に入りにくく、プレミアがついているペダルが多いです。
採算を度外視して品質を追求した製作者の姿勢を、ユーザーは感じているのでしょう。
おすすめのモデル
1つは入手困難なものの歴史を語る上で絶対に外せないペダル、あとは2019年時点でも手に入る現行モデルから選びました。
1.OVERDRIVE Preamp/250
DODを語る上で絶対に外せないオーバードライブペダル。
開発時期によって3世代に分かれますが、どのモデルにも共通しているのが真空管独特の粒立ちと暖かさを備えていることです。
また、ゲイン幅が広く細かく設定されているのも特徴で、1台でかなり細部まで好みのサウンドメイキングが可能です。
初代はややきらびやかで荒い音、3代目はコシのある現代的な歪みというようにマイナーチェンジされています。
状態が良いものを見つけるのはなかなか難しいですが、ぜひシステムに組み込んでほしいところ。
どのアンプでも音質を確保しやすくなるので、特にツアーが多いギタリストはとても楽になります。
2.Gunslinger
中域が異常な程粘るディストーションペダルです。
ローゲインでも驚くほどにサスティ-ンが伸び、「ふくよかで瑞々しい音」という表現がしっくりきます。
立ち上がりが鋭くきめ細かいローも特徴です。
DODならではの幅広いキャラクターも健在。生産自体は終了しているので、早めの購入をオススメします。
3.LOOKING GLASS
ヴィンテージペダルを思わせる太く荒々しいコシと、現代のテクノロジーが実現した繊細でローノイズなタッチ感を両立させた名機です。
特にクランチトーンに設定した時の陰りのある音の余韻が唯一無二で、BOSSのブルースドライバーが好きな人には守備範囲でしょう。
懐かしさと個性が同居したDODらしいペダルです。
4.Carcosa Fuzz
ハイゲインながらもギター本体のニュアンスを残すサウンドから、ノイジーで実験的なファズサウンドまで広く表現できるファズペダル。
レンジの広さが最大の特徴で、ペダル3台分程度のサウンドの幅があります。
音痩せがしにくいのも嬉しいポイントで、DODらしくない(?)優等生なペダルです。
5.Rubberneck
デプスとゲインの2種のモジュレーションつまみと、独立したテンポコントロールスイッチを搭載する非常に機能的なアナログディレイです。
また、フットスイッチを押し続けることでリピート回数を増減させることができ、ナチュラルなディレイから一瞬で発振状態まで持ち込みこともできます。
アナログディレイ独特のユニークさと緊迫感を合わせた音質も高いレベルで実現しており、リアルタイムコントロールが必要なポストロック系ギタリストにはぜひ試してほしいところ。
まとめ
とにかくたくさんの失敗と成功を経験し、名機と迷機を世に送り出したDODのエフェクターをご紹介してきました。
古いモデルには個性的な過激さがあり、近代のモデルには質の高い安定感があります。
特に「一台で多くのキャラクターを作りたい」というギタリストの皆様はぜひ一度手に取ってみてください。
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