EDENはハイエンドベースアンプメーカーとして名高く、現在も多くのミュージシャンに愛用されています。
今回の記事では歴史やメーカーとしての特色を解説し、最新機種のWORLD TOUR PRO WTP900をレビューします。
このモデルは特筆したい点が非常に多く、音作り深く没頭出来てなお、サウンドにもまとまりのある作り込まれたプロダクトでした。
EDENの歴史と特徴
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1976年に創設者のデヴィッド・ノードショウ氏がアメリカのミネソタ州でEDENを立ち上げました。
元々はSWR社などのスピーカー製造を請け負うメーカーとしてスタートしましたが、現在ではベースのアンプヘッド、キャビネットの他、エフェクトペダルも手掛けています。
2011年12月にMarshall社の傘下となり、国内代理店がYAMAHA社に代わってからしばらくは流通が途絶えていましたが、2014年3月にようやく日本でもEDENのプロダクトが見られるようになりました。
EDENと言えば何と言ってもそのクリアさと音圧感のあるサウンドが特徴。
煌びやかな高音は美しく、特に現代的なレスポンスの速さが求められるベースサウンドを得意としています。
またEDENならではのセミ・パラメトリックイコライザーやエンハンスコントロールなどの独自の高いユーザビリティによって、多くのプロベーシストの心を掴んでいる点も忘れてはいけません。
WORLD TOUR PRO WTP900
450Wのステレオ出力が可能なプロフェッショナルモデルである本機は、4Ωのキャビネットにそれぞれ接続されたときに最大のパワーを発揮します。
これはつまり、450Wのパワーアンプを2台動作させることが出来る、ということですね。
もしくは、ブリッジモードとして900W@8Ωのモノラルパワーアンプとして動作させることも出来るフレキシブルなスタイルを持ちます。
サイズは430*88*400、重量は15.5kg。ラックマウントが可能なタイプです。
過大入力を監視、クリップランプ
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EDENのベースアンプはベース本体の持つキャラクターを綺麗に美しく出力しますが、音が歪まないようインプットゲイン、EQ、マスターの各セクションにクリップランプが付いています。
音作りに没頭していると各コントロールをブースト方向に調整しがちですが、音が潰れてしまった場合にどこに原因があるのか、このクリップランプによって一目で分かります。
インプットゲインにクリップランプが装備されためのは他のアンプメーカーにも見受けられますが、これだけ細かく監視できるアンプはあまりありません。
コンプレッサー
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ベースアンプ本体にコンプレッサーが付いているものは少なくありませんが、それらは往々にして過大入力からアンプやスピーカーを保護する意味合いが大きいように思えます。
そんな中、本アンプのコンプレッサーはAMOUNT(一般的なコンプで言うスレッショルド)とRATIOというコントロールを搭載し、サウンドを含め「ベーシストが求めるコンプレッサー」といった印象。
高速でソフトニーなコンプレッサーとしてアタック、リリースはナチュラルに設計されています。
この仕様であれば、どれくらいの音量からコンプをかけるか、どれくらいの強さのコンプをかけるかがシンプルに設定できるので、音作りがしやすいです。
TUBE MIX
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プリアンプ部に2本の真空管(12AX7)を搭載しており、通常は1本を入力時に経由しています。
このTUBE MIXをオンにすると2本目の真空管を使ったドライブサウンドをサウンドに付加します。
この点もWORLD TOUR PROシリーズならではの機能で、インプットゲインとは別でドライブサウンドをコントロール出来ることは大きなメリットですね。
従来のベースアンプではインプットゲインで歪みを作るため、ある程度しっかりゲインを上げる必要があります。
あえて過大入力した状態なので、マスターボリュームで適正な音量に調整するのが少々難しいです。
しかし本モデルの仕様ならゲイン、マスターボリュームはクリーントーンと同じ設定で、ドライブ量を個別に調整できるため、ドライブサウンドの微妙な塩梅をTUBE MIXのみで整えることが出来ます。
なお歪みのキャラクターとしては、BOSSのODB-3のようなディストーションに近い印象で、TUBE MIXを上げ目にすることで、ブーミーなドライブサウンドを作ることができます。
エンハンスコントロール
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エンハンスコントロールはEDENの独自のエフェクトで、よりクリアなサウンドを手に入れるために非常に有効です。
一般的なエンハンサーとは動作は異なり、つまみを回すほど低域をマスクするミドルレンジカットしながら、ローエンド、ハイエンドがブーストされEDENならではの抜けの良さ、存在感を出すことが出来ます。
EQとは異なる動作のため、アンプで徹底した音作りを行うベーシストにとって重宝するでしょう。
セミ・パラメトリックイコライザー
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イコライザーは特に使い勝手が分かれる部分ですが、本モデルにはBASSとTREBLEの固定されたEQに加え、LOW,MID,HIGHの周波数帯域を任意で調整できるパラメトリックスタイルのイコライザーを搭載しています。
各メーカーは趣向を凝らした周波数帯域を設定しますが、ベーシストによって求めているEQのポイントは厳密には違います。
パラメトリックイコライザーのLOWは30-300hz, MIDは200hz-2khz, HIGHは1.2-12khzと扱える範囲が広いことに加えて、それぞれで帯域をかぶせている点も注目したいポイントです。
例えばローエンドに重心を置いた音作りをしたい場合に、LOWでは30hzで最も低い帯域を持ち上げ、MIDは250hzにQポイントを置くことでベース本来の低音感を加える、つまり低域を2つのEQによってコントロールすることが可能です。
このようなフレキシブルな音作りが出来ることも本モデルの大きなメリットだと言えますね。
10hzまでのローエンドを一括でブースト/カットするBASSと15khzまでのハイエンドをブースト/カットするTREBLEも加えた5バンドのイコライザーは音作りの際の心強い味方になってくれます。
フットコントローラー、PEDL-70007
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ミュート、チューブミックス、コンプレッサー、エンハンス機能のオン・オフを足元でリモート操作出来ます。
これらの動作状況はフットコントローラーのフロントパネル上のLEDで確認できるようになっています。
これがあれば原音を基本としつつ、TUBE MIXで作ったドライブサウンドや、エンハンスで作ったドンシャリサウンドを楽曲中で切り替えることができるため、より多くのシチュエーションに対応することが出来ます。
エフェクトペダルに頼らずとも、アンプだけで多くのことが出来るのは大きなメリットだと言えますね。
HEADPHONES + AUX IN
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アンプヘッド裏面にヘッドホンアウトとMP3プレーヤーなどが接続できるAUXインプットを装備。
自宅やライブ会場の控え室で、アンプの音で練習したいケースに重宝することでしょう。
このような普段使いも考慮した設計もツアーを行うベーシストにとってありがたい機能です。
使用感
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サウンドキャラクターはモダンで、ハイエンドの伸びが美しい印象です。
特に多弦ベースを使う場合に、Low-B弦はしっかりとアタックを感じさせつつ音程感があり、High-C弦を含めた和音弾きでは全く濁りなくベースでコード感を表現できます。
奏法を問わずピッキングのニュアンスを大切にしたいプレーヤーにとって、隅々までベースラインが感じられるこのEDENのサウンドはきっと気に入ってもらえるはず。
機能の多さは使いづらさにも繋がりかねませんが、旧WORLD TOURシリーズと比べると必要な機能のみがよりわかりやすく搭載され、ユーザビリティは向上しているように感じます。
ドライブサウンドやエンハンスコントロールで作ったサウンドをフットコントローラーによって場面ごとに切り替えられる点は、他のアンプにはあまり搭載されていない、非常に大きなメリットですね。
まとめ
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以上となりますが、いかがでしょうか?
これさえあればプロの現場であっても他に何もいらないほど、高品質高機能なプロダクトだと思いました。
設立50年を越えるEDENは他にもWORLD TOUR PROの機能とサウンドを小型、軽量化し、コストパフォーマンスに優れたTERRA NOVAシリーズのベースアンプを取り揃えています。
このEDENのサウンドをぜひ一度試してみてください。
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