フレットレスベースを演奏する上で、気を付けたいのがピッチです。
バンドサウンドの中でも独特な浮遊感を持つサウンドは、良くも悪く浮いて聞こえます。どうせ弾くのなら良い意味で存在感のあるベースを奏でたいもの。
今回はフレットレスベースを弾く上でのメリット・デメリットに触れ、メリットを生かすためのオススメの練習曲などを挙げていきたいと思いますので、練習の際の参考にしてみてください。
フレットレスベースのメリットとは
スローテンポな曲の中では、サウンドがぴったり合って、とても心地よい響きを見せてくれます。
流れるようなラインはフレッテドベースでは出せない良さがあるのがフレットレスのメリットでしょう。
また、フレットレスベースではサスティーンを利かせたフレーズも特徴的です。
上手く取り入れているプレイヤーの音は、クラシカルでアコースティックな響きを持っていて、これはフレッテッドではなかなか出す事の出来ない要素でもあるので、是非習得したいところ。
ベーシスト人口の中でもかなり少数なフレットレスベース。持っているだけでも目立ちますが、そのサウンドは唯一無二のものです。
フレットレスに限った話ではないですが、右手のピッキングが顕著に表れるのも特徴です。
ウッドベースのようなニュアンスで鳴らす事や管楽器のようなアプローチをかけることもピッキングで再現できます。
フレットレスを演奏する際には、そういったピッキング位置にも注目してみましょう。
フレットレスベースのデメリット
フレットレスベースのデメリットはピッチの曖昧さ。
特に歌モノバンドにとって、ピッチはかなりシビアなものになります。ボーカルの方に迷惑をかけないためにも、血の滲むような練習は必須。
フレットレスベースの人口が少ないのは、こういったハードルの高さにあると思われますが、このハードルの高さが一番のデメリットでしょう。
今回は、そんな血の滲むような努力を少しでも楽にするためにも、効率的な練習曲をいくつか挙げているので、近道として実践していただければと思います。
まずはピッチ
私もかつてはフレットレスベースを使いこなす事が出来ず、バンドメンバーから非難が相次いだ経験があります。
いくら変わったベースで目立っても、肝心の演奏がダメでは話になりません。その上でピッチはとにかく練習をしました。
基礎的な練習については過去記事をご参照いただきますと幸いです。
フレットレスベースの極意
今回はより実践的な内容に入っていきますので、今日から取り組んでみてくださいね。
オススメ練習曲
課題曲
Jaco pastorius/Donna lee
Jaco pastorius/Chromatic Fantasy
番外編
先ずは課題曲として挙げさせていただいたJaco Pastoriusの曲に関して、何が得られるのかを説明したいと思います。
Jaco Pastoriusはフレットレスベーシストとして最初に名が挙がるほどに有名なプレイヤーでもありますが、やはり彼のプレイから学ぶことのできる要素は非常に多いんです。
まず、正確なピッチ、速いパッセージのフレーズ、独創的なアプローチ、どれを取っても一流。
そんな彼の演奏曲は、他のプレイヤーの曲をベースでカバーしたものも多いのが特徴です。
今回挙げた2曲も、例に漏れずアルトサックスプレーヤーのCharlie Parker(チャーリー・パーカー)とバロック音楽を語る上で欠かすことのできない音楽家、Johann Sebastian Bach(ヨハン・セバスチャン・バッハ)の曲をベースでカバーしたもの。
順に説明しますと、Charlie ParkerのDonna leeをカバーした楽曲は、Jaco Pastoriusのデビューアルバムに収録されています。この曲を練習する上で意識したいのが、運指の運び方。
Donna leeから学ぶ運指ポジション
非常に速いテンポで、次々と難しいフレーズが出てくる楽曲ですが、運指もややこしいです。
最初は半分くらいのテンポから音を正確に拾いながら練習するといいでしょう。
最初の始動が、G弦の12F(フレット)なのですが、そこから弦間を移動するパターンと同一弦で下降していくパターン、両方を習得すると一石二鳥でスキルアップが狙えます。
ただコピーするだけでも困難を極める曲ですが、遅いテンポで弾けないフレーズはいくら頑張っても、原曲テンポで正確には弾けませんので、じっくり練習しましょう。
サックス奏者はベーシストにとって、非常に美味しいフレーズを沢山持っています。コピーするときは、Jacoをコピーするのではなく、サックス奏者になった気分でコピーしましょう。
抽象的な表現ですが、楽器に対するアプローチのスタンスを変えることは、フレットレスという楽器にとってかなり重要です。
スタッカートな音と白玉系の伸ばすフレーズ、ポジション移動、ビバップの美味しいフレーズが沢山詰まっていますので、一度身につくとかなり使い勝手がよくなります。
移動の時に、4フレット4フィンガーを崩さず、正確にできるようになれば、自然と正確なピッチのポジションが身に付きます。
Chromatic Fantasyから学ぶ正確なピッチ
J,S,BachのChromatic Fantasyは誰しも一度は耳にしたことがあるでしょう。
Jaco Pastoriusのアルバムでは、Word of MouthとPunk Jazzに収録されています。
先ほどのDonna leeでは正確な運指が得られると書きましたが、Chromatic Fantasyはそれに加えて更にピッチが重要になってきます。
アルペジオが多用される楽曲ですが、Jacoのカバーする曲でも時折和音が混ざり、それが荘厳な響きを持って、曲全体をただのカバー曲としてではなく、格式高いものにしている点が印象的です。
ピアニストによって弾かれることの多い曲ですが、その音の運びなどはベースを弾く上では少し馴染みのないものなので、練習にはうってつけ。
特にピアノ曲は正確なピッチが鳴らせていないと不協和音になりやすく、練習の時にも意識しやすいはずです。
以上の要素から、フレットレスで弾くことができるレベルになれば、余程耳の良い人に出会わない限りはピッチに関して注意されることもないでしょう。
番外編について
さて、耳が痛くなるようなピッチの話は以上です。ここからはフレットレスベースにとってのメリットの話になります。
フレットレスベースにとって何が大切なのかについて紹介していますので、演奏の際に気を付けてみてください。
番外編として挙げさせていただいたものは、具体的な楽曲ではありません。
これまでフレッテッドで練習してきた曲は、耳に染みついているので、それを改めてフレットレスで弾いてみると間違いに気づきやすくなります。
この練習法が一番ハードルも低く、挑戦しやすいので、まずは腕慣らしにこれまで練習した曲を弾き直すと耳がなじみます。
そして、フレットレスベースを弾く上で一番大きなメリットとなるのが表現力。
音価を重視したフレーズというのはボーカルから学べることが多いです。
特にジャズシンガーなどはその代表で、間を上手く使ったり、抑揚をつけたり、表現力が素晴らしいですよね。
フレットレスベースはフレットがない分、表現の幅も広がるので、スライドを使って音を繋いだり、ピッチの曖昧な中間音を上手く使ったりして歌心のあるフレーズを弾くことができるとバンドメンバーからも評価されます。
好きなボーカリストを見つけたら、その人の歌声をベースで再現しようと練習してみてください。
新たなフレーズやオリジナリティのあるソロが弾けるようになるでしょう。
フレットレス化加工について
Geek IN Boxではフレットレス化加工を承っております。
詳細はこちらの記事をご覧ください。
おわりに
フレットレスベースはまだまだ掘り下げることのできる余地が残っています。
数少ないフレットレス人口の中で、一人でも多くのプレイヤーがその魅力に気づき、更に人口を増やしてくれれば幸いです。
フレットレスで身についたテクニックは、フレッテッドに持ち替えた際にも活かすことができますので、今日からフレットレスに挑戦してみましょう。
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