フレットレスベースの弾き方

フレットレスベースは、運指とピッチが何よりも重要であることに変わりはありません。

しかし、中級者以上のフレットレスベーシストになる上で、更にステップアップを図るためには、左手(右手)の訓練だけではなく、右手(左手)のピッキングについても深掘りしていく必要が出てきます。
今回は、フレットレスベースを演奏する上で、押さえておきたいピッキングについてご紹介します。表現力で、周りのベーシストに差をつけましょう。

 

 

●ピッキングの種類

 

 

まずは、フレッテッド・フレットレスで共通するピッキング方法について、簡単にまとめたいと思います。

ベースを指弾きで演奏する際に、大きく二通りのピッキングに分かれます。

 

それはアルアイレ奏法とアポヤンド奏法。

 

アルアイレ奏法

 

 

アルアイレ奏法は、弦に対して孤描くように指を動かし、アタック後に手の平側へ丸め込むような動きをします。

サウンドはソフトで優しく、フレーズに表情をつけたいときに上手く織り交ぜると曲調に対してさまざまなアプローチがかけられるようになります。

 

アルアイレ奏法は基本的には並行な方向に弦を振動させる奏法です。

 

並行な方向に弦を震動させる場合、フレットレスではかなり温かみのあるトーンになります。

ピッキングのポジションによってスウィートスポットも異なるので、アコースティックなニュアンスを出すポジションなどを把握しておくといいでしょう。

 

 

フレッテッドは常にフレットが接しているのに対して、フレットレスは指と指板が弦と接する事になります。

フレットという発音の発地点を持たずに柔らかい素材と接した場合、音の立ち上がりは遅くなり、結果的にソフトでアコースティックなサウンドになります。

 

バラード調の曲などでは特に存在感が感じられるサウンドが特徴的ですがリズム的な強さは弱いので、ビートを強調するプレイをするときには注意が必要です。

 

そこで、使い分けたいのが次でご紹介するアポヤンド奏法での垂直方向への振幅です。

 

アポヤンド奏法

 

 

アポヤンド奏法とは、弦に対して振り下ろした指をアタック後に振り抜き、隣りあった手前の弦にあてて弾く奏法のことです。

ベーシストの方が無意識的に身につけている奏法かもしれません。

 

力が一定になり、粒立ちが良くなるのでボトムを支えるベースには最適。

また、振り抜いた指が必ず隣り合った弦で止まるので、安定感のあるピッキングだと言えます。

 

アルアイレ奏法が並行方向に弦を振動させるのに対して、アポヤンド奏法は弦を垂直方向に振動させます。

アポヤンド奏法では垂直の方向に指を振り抜く形になるので、アルアイレ奏法で並行方向に振幅させるピッキングに比べて出音の立ち上がりが明確になります。

とはいっても、フレッテッドに比べると立ち上がりは遅いので、タイトにリズムを出すには少し “前め” のタイミングを心がけましょう。

 

 

 

●備考

アポヤンド奏法において、弦を厳密に垂直方向に振動させる事は簡単ではありません。

しかし弦に対して上から押しこむように、出来るだけ垂直方向に振動するようにピッキングすると、力強いサウンドが生まれるはずです。

短所としてピッキングをリリースする際にロスが生まれやすいので速いフレーズで使うことができない点があります。

しかし、ミドルテンポでは無理なく存在感のあるローエンドを演出する事ができます。
フレットレスベースは、フレッテッドに比べて、ピッキングへのレスポンスが顕著に表れます。今回ご紹介した振幅方向への理解を深めることで、音の表情もガラッと変わるので、是非突き詰めてみてください。

 

ハイポジションは甘く、ローポジションは迫力のあるピッキング、と使い分けることで2つの楽器を使い分けたような差が出てきます。

フレットレスベースを実践的に使うための参考になれば幸いです。

 

最後に、これらの振幅を上手く楽曲へ反映させていると思われるものをご紹介して締めとさせていただきます。

どこで、どの方向への振幅を使っているか聴きこんでみてください。

 

Jaco Pastorius/Slang

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