ベースの弦交換は、古くなった弦を新しい弦に交換する作業です。弦は使用時間と共に劣化し、音質や演奏性に影響を与えます。
消耗品であるベースの弦交換は、音質や演奏の質を向上させるために定期的に行うことをおすすめします。
本記事では、これまで数千本以上のベースのメンテナンスを行ってきた楽器屋の知識と経験を基に、ベースの弦交換の手順や選び方、注意点、メンテナンスのポイントなどを詳しく解説します。
ベーシストの皆さんは、正しい弦交換の方法を学び、最高のサウンドを引き出すためのベースの弦交換のノウハウを身につけましょう。正しい知識があれば、ベースの弦交換を自分でできるようになりますよ。
弦交換におすすめの時期は?
弦交換のおすすめの時期は、一般的には以下のポイントを考慮します。
・使用時間による劣化……弦の使用時間によって劣化が進むため、頻繁に演奏する場合は、約2〜3ヶ月ごとに弦を交換することが適しています。プロのミュージシャンや頻繁にライブ演奏する人々は、より頻繁な交換が必要かもしれません。
・音質の変化…弦が劣化すると、音質が変わります。初めは明瞭で鮮やかだった音が鈍くなったり、不快な音が出たりすることがあります。このような変化が感じられる場合は、弦交換のサインです。
・演奏の快適さ…弦が劣化すると弦の表面が荒れたり、指滑りが悪くなったりすることがあります。演奏中にいつもと違う不快感を感じたら交換の時期かもしれません。
・重要な演奏前のタイミング…スタジオ録音や重要なライブ演奏が控えている場合は、明瞭でバランスの取れたサウンドを奏でられる新しい弦に交換することをおすすめします。
弦交換前に用意するもの
弦交換をする前に新しい弦の他、用意しておくアイテムがあります。
食い切り(ニッパー)
食い切りはニッパーと同じ役割をするアイテムですが、弦をより正確かつ綺麗に断ち切ることができます。
ストリングワインダー(巻き取り器)
ストリングワインダーは、弦を巻き取るために使用するツールで、電動または手動の2タイプがあります。どちらもペグを手で回すよりスムーズかつスピーディーに弦を巻き取ることができるので作業の効率化が期待できます。
クリーニング用品
指板を保湿、保護するためのレモンオイル、オレンジオイルやフレットクリーナー、楽器用クロスなど、ベースを掃除するアイテムを用意しておきましょう。
チューナー
弦交換後、ベースのチューニングをする際に使用します。
弦交換の方法
それでは、ここからは弦交換の方法について解説します。正しい手順と道具を使用して、ベースの弦を交換することで、サウンドと演奏性を向上させることができるのでぜひチェックしてください。
古い弦を外す
まず、ベースの弦を全体的に緩めます。ペグを回し、弦の張力を緩めていきます。弦が緩んだら、食い切りやニッパーを使用して、ブリッジ付近かペグ付近で弦を切断します。
切断された弦のボールエンドをブリッジから外し、ペグからも外します。弦を引っ張りながら外すとボディに傷を付けずスムーズに取り外せます。
指板とフレットのクリーニング
指板にたまった埃や汚れを除去するため、柔らかい布や綿棒を使って軽く拭き取ります。
未塗装の指板を持つ場合は、レモンオイルやオレンジオイルなどの指板オイルを使用して指板を保護し、乾燥を防ぎます。最後に、余分なオイルを乾いた布で拭き取ります。
フレットの掃除には、付着した汚れや酸化物を取り除くため、フレットクリーナーを使用します。クリーナーを使って丁寧に磨き上げたら、フレット上に残ったクリーナーを乾いた布で拭き取ります。
ブリッジに弦を通す
まずは弦を通す方向を確認し、ブリッジの通し穴に弦を挿入します。ブリッジの反対側から弦を引き出し、張り上げます。
穴に通さず、引っ掛けるだけのタイプも存在します。(Warwick純正、HIPSHOTなど)
弦の長さ調整・カット
ペグに弦を巻き付ける前に、弦の適切な長さを調整します。
弦の適切な長さが分からないという方はこちらを基準にしてみてください。
・ペグがフェンダータイプの太いポストなら130mm
・多弦ベースやモダンなベースによくある中位の太さのポストなら90mm
・アイバニーズなどの極めて細いポストなら60mm
弦の長さが決まったら、弦をペグに向けて折り曲げたところから約1cmの部分でカットします。カットの際、ボディや他の弦にダメージを与えないように注意して作業しましょう。
弦を巻く
弦をペグのポストに差し込み、弦を巻いていきます。弦を巻き付ける際には、ペグと弦の巻き付け方向に注意しましょう。一般的には、ヘッドストックの内側から外側に巻きます。
ペグに巻き付ける量は、一般的にペグに2〜3回巻き付けると適切と言われています。弦がペグにしっかりと固定され、滑らないように巻き付けましょう。
弦を巻き付ける際、弦が曲がったりねじれたりしているとビビりが生じたり、弦振動が上手く伝わらなかったりと演奏に支障が生じます。特にねじれには気をつけて、丁寧にまっすぐ巻き上げてください。
また、隣の弦と重なったり、交差しないように注意して整えましょう。
チューニング・オクターブチューニング
弦を張り終えたら、チューナーを使ってチューニングします。張り立ての弦はチューニングが安定しないので、弦に軽くテンションをかけながら2〜3回チューニングするのがポイント。
最終的にオクターブチューニングまで行えば、ピッチが正確で一貫性のあるサウンドになるでしょう。
おすすめの弦を紹介
弦の種類も様々ありますので、弦交換の際に試してみてもらいたい弦をいくつか紹介します。
PITBULL STRINGS(ピットブルストリングス)
最高級のアメリカ製スチールワイヤーと、Pitbullの高品位な製造技術によって製造されるフラッグシップモデルです。
硬すぎないテンション感を持ち、しなやかなでストレート、そしてナチュラルな振動が得られます。トーンのバランスに優れ、長いサスティーンを持つサウンドが特徴的。
STRINGJOY(ストリングジョイ)
ハンドメイドで作られるStringjoyは製作の全てのプロセスに人の手が入り、厳しいクオリティコントロールが行われます。そのため所謂ハズレ弦が混入する確率は限りなく低く、上質な弦のみがパッケージされます。
スティール製のラウンドコアに最高級のアメリカンニッケルを巻きつけたStringjoyはブライト過ぎず、メロウ過ぎないバランスの良さと反応性の良さが特徴。また、高品位なマテリアルがもたらすシルキーな手触りとしなやかさな弾力はプレイヤビリティを大きく向上させます。
D’addario(ダダリオ)
D’addario(ダダリオ)は世界で最も人気のある弦ブランドの一つです。多くのミュージシャンが愛用しており、その質の高さは高く評価されています。
中でもいくつかのシリーズがありますが、EXLシリーズは特に定番のモデルです。迷ったらこれを選んだら間違いがありません。
Elixir(エリクサー)
Elixir(エリクサー)は弦にコーティングを施すことで寿命を飛躍的に伸ばすことに成功し、優れた経済性から多くのアーティストに愛されています。
滑らかな弾き心地も特徴的で、演奏性の面においても魅力がある弦と言えるでしょう。また、以前は弾き込むとコーティングが毛羽立ってしまうことがありましたが、現在はコーティングの技術が向上し、そのような問題は少なくなりました。
昔の経験から敬遠している方にもぜひお試しいただきたいです。
まとめ
この記事では、弦交換の時期や手順、おすすめの道具について紹介しました。弦交換の時期は、演奏時間や弦の状態によって異なるものの、一般的には数ヶ月から半年程度が目安です。
弦交換の手順では、気を付けたいポイントを紹介したので、これらの点に気を付けて作業すれば自分でも弦交換が可能です。もっと弦交換について知りたい方は、こちらの動画で実際に作業しながら解説しているのでぜひご覧ください。
もちろん、弦交換を自ら行うことは容易ではありません。弦交換でお困りの際は、GIBで弦交換をしますのでお問い合わせください。
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