Maxon(マクソン)は1966年(昭和41年)に長野県松本市で設立された、エフェクターなどを手がける株式会社日伸音波製作所のブランドです。
日伸音波製作所は創業当初はギターのピックアップの製造を手がけていましたが、1969年ごろに他メーカーのエフェクターのOEM(他社ブランド製品の製造)をはじめ、1971年から自社ブランドMaxonを立ち上げました。
1979年にMaxon OD808がIbanez(アイバニーズ)ブランドからTS808として海外で発売され、Ibanez TS9、TS10と共に伝説的ブルースギタリストのスティーヴィー・レイ・ヴォーンに愛用されたことで、その人気は世界に広まりました。
Maxonはその後も質の高いエフェクターを世に送り続け、いまも世界中のギタリストたちに愛されています。
Maxonエフェクターの特徴
Maxonエフェクターは、OD9に代表される中音域に暖かみにあるオーバードライブや、AD999アナログディレイの暖かみのあるディレイサウンドなど、「アナログ」や「暖かみ」といったキーワードを持つサウンドがその持ち味と言えます。
エフェクターのラインアップは「歪み系」が多いのが特徴で、現行機種ではオーバードライブ13機種、ディストーション5機種、ファズ7機種、ブースター1機種、コンプレッサー3機種、コーラス4機種、フランジャー/フェイザー3機種、ディレイ4機種、その他(イコライザー/ワウ)2機種となっています。
現行機種にはデジタル系のエフェクターは一切なく、Maxonのアナログ志向が強く表れたラインアップとなっています。
MaxonとIbanezの深い関係
Maxon OD9とIbanez TS9はロゴ以外は見た目がそっくりなので「どう違うのだろう?」と感じ方も多いと思います。
両ブランドのエフェクターはオーバードライブ系は緑系色に統一され、さらに筐体が同じものがあり共通した雰囲気があります。
こちらではMaxonとIbanezの関係を紐解いてわかりやすく解説いたします。
日伸音波製作所は自社ブランドとしてMaxonを立ち上げる一方、楽器商社の星野楽器のブランドであるIbanez(アイバニーズ)へエフェクターをOEM供給をはじめました。
両ブランドの初期のエフェクターはMaxonは日本国内向け、Ibanezは海外輸出向けのブランドとして製造販売されていました。つまり初期のMaxonとIbanezは名称は違えど基本的には中身は同じものでした。
Ibanez名義のエフェクターは2002年まで日伸音波製作所で製造されていましたが、それ以降はそれぞれ独自に開発製造するようになったので、現在はMaxonとIbanezは関係のないブランドになりました。
以上の理由で両ブランドのエフェクターにはそっくりなものや、カラーが同じで似ている機種が存在するのです。
中古のIbanezエフェクターを購入される際は、同じ機種であっても製造年によって日伸音波製作所(=Maxon)製、Ibanez製と分かれていますので注意して見てみてください。
おすすめのモデル
OD808 Overdrive
IbanezからTS808として1979年に発売され、伝説的ブルースギタリストのスティーヴィー・レイ・ヴォーンが愛用するなど歴史的名器としてその名を刻むオーバードライブペダルです。
日本国内向けにはMaxon OD808として発売され、現在もオーバードライブペダルの定番として人気があります。
TS808は当時人気だったBOSS OD-1やMXR Distortion+の対抗馬として開発されました。
ディストーションやファズなどの激しい歪みでなく、あらゆる種類のギターやアンプに対応できる箱鳴り感のある真空管アンプのようなオーバードライブサウンドを目指し、中音域を強調されたサウンドに設計されています。
そのナチュラルでウォームな歪み感や音抜けの良さはいまだに世界中で愛されています。
またブースターとして使用するとアンプのキャラクターを損なわず気持ちよくゲインアップできることからブースターとしても根強い人気があります。
OD9 Overdrive
Ibanez TS808と並んでTS系の超定番モデルであるIbanez TS9のMaxonバージョン。
中音域に特徴あるマイルドな歪みと豊かなサスティーンは発売から40年近くたった今もなお世界中のギタリストに愛されています。
現行のリイシューモデルでは初期オリジナルのオペアンプ(IC JRC4558D)を採用し伝統のウォームチューブ・トーンを出すことができます。
Ibanez TS9と現行Maxon OD9との違いですが、OD9では新たにTBS(True Bypass Switching)を採用しバイパス時の音ヤセを防ぎ、またLEDに明るいものを採用し現代的にバージョンアップされています。
CS550 Stereo Chorus
1995年にChar氏が監修したCS550のオリジナルモデルと同じコーラス回路を使用し、さらにトゥルーバイパス仕様になった現行モデルのコーラスです。
アナログらしい暖かみのあるコーラスサウンドが特徴で、心地よいウネリと広がりのあるサウンドはクセになります。
サイド面にあるmixつまみで原音とエフェクト音のミックスバランスを調節できるので、原音を損なわずに軽いさわやかなコーラスサウンドから、ウニョウニョしたクセの強いトレモロサウンドまで幅広くセッティングできます。
原音を損なわないのでギターだけでなく音の太さにこだわるベースにもおすすめです。
AD999 Analog Delay
アナログならではの暖かみのある、まろやかなディレイエフェクターでありながらも、最長900mSec.のロングディレイが可能です。
ディレイタイムを短めにすればスラップエコー風のロカビリーやカントリーのプレイ向けのサウンドに、またロングディレイにすればスローバラードでのゆったりしたギターソロ向けのサウンドを演出できます。
またリピート多めにしてレゲエ/ダブサウンド、リピートレベルを上げてフィードバックさせるとアナログディレイならではの発振エフェクトを作り出せるなど、あらゆるジャンルに対応できる一台です。
音ヤセのほとんど無いトゥルーバイパス仕様。デュアルアウトプット仕様でドライ音とディレイ音を個別に出力できます。
もちろんミックス出力も可能です。
まとめ
Maxonの歴史とおすすめのエフェクターを4機種紹介いたしました。
Maxonのエフェクターのイメージと言うと「質実剛健」という言葉がしっくりきます。
「質実剛健」とはすなわち「飾り気がなく真面目にたくましくしっかりしている」という意味ですが、Maxonのエフェクターを手にすると、どこかにそんな真面目な「職人気質」を皆さん感じるのではないでしょうか。
その精神はエフェクターそのものだけでなく、一部製品の外箱に印字された「末永くご愛用ください」の文字にまで感じることができます。
またMaxonのロゴに下部に”Made in Japan”とあるのを見ればわかるように、日本製品として品質へのこだわりと誇りを感じます。
1970年代のエフェクター黎明期から世界のトップブランドとして世界中のミュージシャンを魅了し続けたMaxon。
特にギターの深みがわかってきた中級者から上級者にはおすすめいたします。
ぜひ一度お試しになってください。
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