ギターマガジン・ベースマガジンで日本のエレキギター・ベース工房が特集され、国産楽器の注目度が高まっています。日本で創られているギター&ベースの広報・普及活動を行う団体、GAKKI ENGINE OF NIPPON(以下GEN)に所属しているメーカーと、サウンドメッセin Osaka 2018で展示されていた楽器を本記事では紹介します。
王道のサウンド、演奏性を継承しながらも各メーカーのこだわりが反映された楽器はどれも非常に魅力的でした。今回は第二弾です。
第一弾はコチラ Made in Japan底力 GENグループ所属メーカーレビュー part 1
目次
- PROVISION GUITAR
- Sugi Guitars
- TONE BLUE
- T’s Guitars
- Ximera
- Zodiacworks
- まとめ
PROVISION GUITAR
山口県宇部市の工房。スタジオからライブまで幅広く活躍するベーシスト、種子田健氏のコラボで生まれたTTOB5シリーズは高いクオリティで仕上がっています。
入手困難なハラカンダを5弦ベースの指板材に使った貴重な1本であるTTOB5-#002は音の太さとレスポンスの速さが絶妙なサウンド。ノードストランド製のビッグシングルピックアップ、弦振動の伝達効率が高いBABICZ製のブリッジによってサウンドの主張は強く、アンサンブルでの存在感は申し分ないでしょう。ローエンドからハイエンドまで音にムラがなく、ネックも程よい厚さで握りやすいのでサウンド、演奏性含めて安定感が約束されています。
Sugi Guitars
IBANEZE、FENDER、EPIPHONE、YAMAHA、SPECTOR、G&Lなど様々なブランドのギター/ベースの製造に携わった杉本眞氏が立ち上げたブランド、Sugi Guitars。
NB5 6AQMは5弦モデルであってもパッシブサーキットを標準搭載しますが、アクティブベースかと思わせるようなパンチあるサウンドは特徴的。パッシブタイプの5弦ベースを展示しているメーカーはこのSugi Guitarsだけで、アコースティックな部分からしっかり低音を鳴らすというところに強いこだわりを感じました。
また鮮やかな木材をトップ材やヘッドに惜しみなく使った今回のショーモデルは非常に上品で、美しかったです。
TONE BLUE
兵庫県神戸市に工房を構えるTONE BLUE。山本彩氏や大原櫻子氏のサポートを務める草刈浩司氏本人の使用ギターを数本展示していました。
ジャズマスターのボディー形状で、太めのネックグリップのJ-Modernは力強く腰のあるサウンド。歪ませた時のバイトや粘りはレスポールを彷彿とさせます。サウンドやプレイヤビリティは高品位で、ライブやレコーディングで求められる要素が全て詰め込まれた現場力を感じるギターでした。
またオリジナルのエフェクターや今回は展示されていなかったJ-Mod Bassというジャズベスタイルのベースも展開しており、楽器メーカーとしての幅広さを感じました。
T’s Guitars
長野県塩尻市に工房を構えるT’s Guitars。鮮やかなキルテッドメイプルが目を引くOmniはオールマイティに使える演奏性とサウンドを追求した1本。ネックは通常のジャズベースより細身で、ハイフレットへのアクセスもしやすいよう、深めのカッタウェイです。
またオリジナルピックアップ、アクティブサーキットから繰り出されるサウンドは適度なソリッドさを持ちつつ、サウンドに変にクセをつけていないところが特徴です。3バンドEQは素直に効くし、1ボリューム、バランサーという構成なので、ボリューム調整やフロント/リヤのバランス調整もしやすいです。
本格的でシンプルに使えるベースを探している女性プレーヤーにオススメしたいベースですね。
Ximera
「エレクトリック・ベース・メカニズム」の著者であるラムトニックカンパニー(SONIC)の竹田氏と様々な観点から新しい楽器作りに挑戦し続けるSago new material guitarsの高山氏によるコラボブランド。デザイン、木工、塗装をSAGOが担当し、ハードウェアの選定、ピックアップ、配線等の作業をラムトニックカンパニーが担当しています。
今回新たに製作された赤色のArxiはスパンコールのピックガードが装着されたキュートでゴージャスなルックス。コントロールは2ボリューム、1トーン、ローミッド&ハイミッドの2バンドEQという珍しい構成で、アクティブとパッシブが完璧に併用出来ます。
そしてレスポンスが速くクリアで高級感のあるサウンド。ピックで弾いた時の音の立ち上がり非常に気持ちいいです。またダミーコイルによって片側のピックアップのみで鳴らした際、ノイズがほぼ出ないように設計されています。サーモアルダーボディ、リグナムバンダ指板、JUPTER P.U.など2つのブランドならではのスペシャルな仕様、ジャズベースの進化系と言える1本です。
Zodiacworks
ギタリストの布袋寅泰さんが使用していることでも有名なZodiacworksからは、5弦ベースに変わってローレンジに対応出来るベース、914 ROARING BASSをラインナップ。最大の特徴は驚異の36inchのスケールを採用した超ロングなネック。デフォルトのチューニングを全音下げ(1音下げ)としており、標準的なベース弦のゲージでもレギュラーチューニングと同様の弦のテンション感を実現しています。
ボディトップには重量感のある銅板を貼ることで、ダウンチューニングした際に求められるレンジの低い低音を確保し、パッシブであってもパワーのある重低音が出せます。SEYMORE DANCAN製のJスタイルのピックアップも相まって、ドロップチューニングでも芯がしっかりした元気のいいサウンドです。
5弦ベースが普及したことで生まれた新たな課題に向き合った1本、ダウンチューニングを多用するプレーヤーに是非試して欲しいです。
まとめ
以上となりますが、いかがでしょうか?以前のサウンドメッセでのSugi Guitars 杉本氏とラムトニックカンパニーの竹田氏の対談で印象的だった話があります。
「FenderやGibsonなど王道の楽器を得て、その次の1本に手に取ってもらうことが我々の存在意義だ。」
老舗メーカーをリスペクトしつつ、王道にはない新しい楽器作りをしたいという想いで、GENの所属メーカーは日夜楽器制作を研究しているんだと感じました。
本記事の第一弾はコチラ Made in Japan底力 GENグループ所属メーカーレビュー part 1
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