どんな楽器も弾く前に真っ先にやることはチューニング。
ギターやベースのチューニングはかつては音叉を使うのが主流でしたが、現在ではチューナーを使うのが主流となりました。
音そのものに大きな変化を与える他の機材とは違い、チューナーはチューニングするというシンプルな機能に特化した機材ですので、それに関する情報量も限られています。
ここではあらためてチューナーに注目して、その種類や選び方、オススメなどを紹介いたします。
チューナーとは
チューナーとはその名の通りチューニングするための機材です。楽器をきっちりチューニングしておくのはどんなジャンルの演奏においても基本中の基本。
どんなミュージシャンも真っ先にしておくべきことですので、プロアマ問わず、チューナーはいちばん重要な機材のひとつと言っても過言ではありません。
チューナの種類には大きく分けて5種類あります。
- クリップチューナー
- ペダルチューナー
- ラックチューナー
- カードチューナー
- チューナーアプリ
上記の5種類のチューナーの中でも特に主流となっているクリップチューナーとペダルチューナーの2種類の比較、そして近年になってよく使われるようになってきたチューナーアプリの紹介をいたします。
クリップチューナーとペダルチューナーの違い
クリップチューナーとペダルチューナーの違いやそれぞれの特徴を紹介いたします。
クリップチューナーの特徴
クリップチューナーはその名の通りギター・ベースなどの楽器のヘッド部分にクリップして(挟んで)チューニングするもので、ここ15年くらいで急速に普及しました。
最近のものはチューニング精度も上がり、また機能面においても、例えば画面角度を自由に調整できるタイプや、一定時間未使用になると電池消耗を防ぐオートオフ機能など細かいニーズをサポートできる機種が充実してきました。
特にベーシストやアコースティックギター奏者はペダルは一切使わず持ち物は楽器とシールドのみというスタイルの方も多いので、そういった「機材はシンプルがベスト」というスタイルのミュージシャンにとってはクリップチューナーは正にうってつけの機材といえるでしょう。
長所
クリップチューナーとペダルチューナーとの最大の違いといえるのが、クリップチューナーは音に関わる回路を一切通らないので音質に影響がない点です。
そのため特に音質変化に厳しい耳を持つミュージシャンや、先に述べたように持ち物は楽器とシールドだけというスタイルのベーシストやアコースティックギター奏者にはクリップチューナーは好まれています。
クリップチューナーは他のチューナーと比べてコンパクトで圧倒的に持ち運びしやすく軽量なのも大きなメリットです。
またギターやベースだけでなく管楽器やウクレレ、バイオリンなどの弦楽器にも、取り付けさえできればどんな楽器でもチューニングできる汎用性の高さも大きな長所です。
特にシールドを使わないアコースティック楽器にはおすすめです。
また価格帯が他の種類のチューナーよりおさえられているため、安いもので500円前後から、標準的なものでも2〜3000円台と経済的です。
短所
逆にクリップチューナーの短所ですが、ひとつは精度や反応の問題です。特に価格の安いチューナーは反応が良くなかったり、精度があまり良くなかったりするものがあります。
反応や精度については値段相応と思っていたほうが無難です。
また、これは機種によるのですがチューナー画面が小さかったり、画面角度に制約があると画面が見えづらいタイプのものがあります。
これに関してはお使いの楽器のヘッド角度などの相性もあります。
ペダルチューナーの特徴
ペダルチューナーはペダルエフェクターと同じようにエフェクターボードに組み込んで使うスタイルが一般的です。
他のエフェクターと同じようにボードに組める点や視認性の高さなどから主流になりました。
また最近はよりコンパクトなミニタイプや、±0.1セントの高精度のチューニングができる機種、トゥルーバイパスできる機種など充実したラインアップも特徴です。
特にエフェクトボードを使用するギタリスト・ベーシストにはおすすめできる機材です。
長所
ペダルチューナーの長所ですが、まず第一に視認性が高いことが挙げられます。
チューナーが見やすいというのは想像以上に大切なことです。
特にライブ中は野外でまぶしくなったり、またライブハウスでは急に暗転したりといろいろな場面がありますので、どんな時にも見やすいチューナーというのは安心感があります。
また一般的にペダルチューナーは精度が高いものが多いです。
最近では±0.1セントの高精度でチューニングができる機種があり非常に正確なチューニングが可能です。
またほとんどの機種がチューニング中にミュートできる機能や、半音下げや全音下げチューニングなどフラットチューニングにも対応するもの、また他のペダルに電源供給できる仕様などを持つものなど、一台導入するだけで単にチューナーとしての機能以上のメリットがあります。
短所
ペダルチューナーの短所ですが、まずは大きさのデメリットがあります。
床において使う性質上、筐体はどうしてもそれなりの大きさになってしまい、可搬性という意味ではクリップチューナーやカードチューナーには差をつけられるところです。
できるだけ手持ちの機材を増やしたくない「機材はシンプル」派のミュージシャン、特に楽器とシールドしか持っていかないようなベーシストやアコースティックギター奏者には、デメリットかもしれません。
つぎに価格です。大体5000円から1万円くらいまでの価格帯のものが多く、クリップチューナーと比べると高めの値段になってしまいます。
また音質に影響を与える点も見逃せません。ペダルチューナーを通すとどうしても一つ回路を通るので微妙にでも音質に影響が出てしまいます。
しかし最近はトゥルーバイパス式のものもありますので、そういった機種を選ぶことで音質劣化の心配はだいぶ解消されています。
おすすめチューナー
どれを買えばいいのか迷っている方のために、おすすめのチューナーを紹介いたします!
クリップチューナー
気軽に取り付けられ、値段も安価なクリップチューナーはちょっとしたセッションにも持っていきやすく、またラインでの出力を持たないアコースティックギターにもおすすめです!
TU-10 / BOSS ( ボス )
BOSSの定番チューナーTUシリーズのクリップバージョンです。
世界中にユーザーを持つ定番ブランドのチューナーですのでデザイン性もさることながら機能面においてもとても良く出来ています。
バックライト付きのカラーLCD表示で視認性は高く、一定時間操作しないと電源がオフになる機能が便利です。
画面が固定式で動かせないのが唯一欠点ですが、逆に可動部分が少ない分、壊れにくいとも言えます。
カラーバリエーションが5色あるのでお好みのカラーを選べます。
PolyTune Clip / TC ELECTRONIC ( ティーシーエレクトロニック )
チューナー界に革命をもたらしたポリフォニックチューナーPolyTuneのクリップ式バージョンです。
すべての弦を同時にチューニングできるポリフォニックモード、一般的なクロマチチックチューナーモードに加えて、±0.02セントの精度でチューニングできるストロボモードの3種類まであり、ほぼ死角なしの仕様になっています。
値段はクリップチューナーとしてはやや高いですが、ポリチューン機能を省いた1000円ほど安いUni Tune Clipもあります。
ペダルチューナー
エフェクターボードに組み込みやすいペダルチューナーはライブ派のギタリストやベーシストにおすすめです!
TU-3 / BOSS ( ボス )
野外での視認性を高める「高輝度モード」や21個のLEDでチューニング状況をなめらかに表示するなど、視認性が良いのでライブでの信頼性が高いです。
音名表示をするクロマチックモードや、弦名を表示するギター・ベースモードでは通常のギター・ベース以外にも5弦ベースにも対応しています。
チューニング中には信号はミュートされ、また他のペダルに電源供給もできるのでライブの現場では重宝します。
Pitchblack Advance PB-AD / KORG ( コルグ )
BOSSと並んでチューナの定番ブランドの一つのKORGのペダルチューナーです。
±0.1セントの超高精度でのチューニングが可能です。また4種類のメーター表示モードが有り視認性が高く設計されていますのでライブでも安心です。
さらに音質に影響を与えないトゥルー・バイパス採用なので音質にこだわる方にもおすすめできます。
ACアダプター使用時には、DC OUT端子から他のエフェクターなどに電源を供給可能です。また他のペダル式チューナーに比べると価格が抑えめなのもおすすめポイントの一つです。
チューナーアプリ
最近のチューナーの新しい潮流とも言えるスマホやタブレットで使えるチューナーアプリ。
その中でも特に有料であっても信頼のおけるものを2つ紹介いたします。
iStroboSoft / Peterson Tuners
このiStroboSoftはその名の通りストロボチューナー形式になっています。
通常の針式チューナーに慣れているとはじめは少し面食らうかもしれませんが使い方はとても簡単です。
スマホに向かって弦を弾くと4列のメータが上下に動きます。一番右側の列が上下に動かないように調整すればチューニング完了です。
1200円とアプリとしては高めですが、どこでも使えるうえに精度がかなり高いので日々の練習やリハーサルなどの日常使いに最適です。
PolyTune / TC ELECTRONIC
TC ELECTRONIC のPolyTuneのアプリバージョンです。
ポリフォニックモードではアプリでも実機と同様に全弦鳴らしてチューニングできます。
くわえて通常のクロマチックチューニングにもできクロマチックチューニング時には+/-0.5セントの精度を誇ります。
表示を針式とストリーム式と自由に変更でき、お好みの形式に画面が表示されるので快適にチューニングできます。
600円とアプリとしては少し高いですが実機のPolyTune同様に使えて600円と思えばかなりお買い得なのではないでしょうか。
まとめ
どんなスタイルのミュージシャンにも欠かせない機材であるチューナーの中でも近年確実に進化を遂げてきたチューナーの主流であるクリップ式、ペダル式、そしてアプリのチューナーをご紹介しました。
クリップ式、ペダル式、アプリ、また今回は紹介しませんでしたがカード式、ラック式も含めて、それぞれに利点があり、どれも捨てがたい魅力があります。
一つにこだわらずに、それぞれのチューナーを場面によって使い分けるのが今どきのスタイルかもしれません。
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