フレット付きのベースを複数本持っている人には、フレットレス加工もオススメです。
かなりハードルが高く感じる改造ですが、普段弾きなれているベースの方が、フレットレスに持ち替えた時のギャップも少なく、なにより機材に対する知識も深まります。
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フレットレス加工に必要な工具
- 食い切り
- サンドペーパー120~800程度
- メイプルの端材(もしくはパテ)
- ナット
あったらいいもの
- エポキシ液(好みに応じて)
- アイロン
- 雑巾
特に特殊な工具を使わずともフレットレス加工は可能です。
食い切りは聞きなれない工具かもしれませんが、ホームセンターで売られています。
可能なら、食いきりは先端を平らに加工してください。
はじめてフレットレス加工をするときは、指版材がローズウッドのものがオススメです。
メイプル指版の場合、フレットを抜く際に指版が欠けたり、割れてしまったりすることもあるので、最初はローズウッドなどの欠けにくいものの方が無難です。
(とは言え割れないようにフレットを抜き、割れたら直す必要があります)
手順
簡単に手順を紹介すると、以下のような手順になります。
- 指版にオイルを塗布
- 濡らした雑巾を指版に置き、アイロンを当てる
- 温めたフレットから順に、食い切りを使ってフレットを抜く
- ナットを外す
- ささくれや毛羽立ちを抑えるために一度軽くサンディング(やすりがけ)をする
- メイプルの薄板、もしくはパテを使ってフレット跡の溝を埋める
- パテの場合、乾燥させると少し痩せるので、再び盛る
- Rを確認しながら指板を加工する。(+コーティング)
- ナットを取り付けて、接着材で固定。
大まかな流れは以上になります。
全体を見ると、そこまで工程も大がかりではありませんが、慎重に進めないと結果的にジャンク品が出来上がってしまうので、要点を説明していきます。
ネックを外す
外してください。
指板を濡らす
指板が潤っている状態であれば、この作業は省略してしまっても構いません。
ここで指板に水分が十分に浸透していないと、指版割れが生じます。
木は乾燥させると硬化するとともに動きも悪くなりますので、フレットを抜く前には指版を湿らせておくとよいでしょう。
アイロン
指板についているフレットは接着剤が用いられているものもあるので、軽くアイロンを当てて、温めて接着剤をゆるくします。
温め過ぎないように慎重に行いましょう。
(必ずしもアイロンで温めなくてはならないわけではありません。)
食い切りを使ってフレットを抜く
食い切りを使うときには、指板の端から3~4mm程度ずつフレットと指板の間に食い込ませます。
この際、平らにした先端を指板に押し付けながらフレットを持ち上げてください。
フレットには簡単に抜けないように返しがついています。工夫しなければその返しが指板ごと持ち上げてきてしまうわけですね。
フレットを抜いた後の溝は木くずや糊が残っていることがありますので、ノコギリなどを使って、軽く綺麗にしておきましょう。
溝埋め
溝にはパテやメイプルの突板を使うのが一般的です。
パテは便利ですが、木材に比べて剛性が下がるとも言われています。
突板を使用する場合は適当な大きさにカットして、少量の接着剤で溝にはめていきましょう。
ちなみに小口は上(指板に対して垂直)に向けないほうがいいです。すぐ割れちゃうので。
サンディング
ここまでは派手な作業が続きましたが、サンディングは地味な作業ですが、最も重要な部分ですね。
根気よく、力を入れずに全体をサンディングしていきます。この際には、平滑の出たまっすぐな木材にサンドペーパーを貼り付けて作業してください。
Rを整えながら、ネック全体のバランスを整えます。ストレートエッジとアールゲージと呼ばれる工具があると便利です。
ここでついでにロッドに余裕を作れたら◎
指板面を調整することでネック(ロッド)をニュートラルに戻しましょう。
この作業こそ、あなたのクラフトマンシップを発揮する時です。パーフェクトを目指してください!
少しずつサンドペーパーの番目をあげていき、コーティングなしなら最終的に2000番の耐水ペーパーで仕上げると見栄えもよくなります。
(コーティングする場合はもう少し低めで終わっても問題ありません)
もしこの後にエポキシやウレタンなどで指版面を保護するのであれば、油分が抜けていることを確認してから行いましょう。
油分が残っていると液剤の硬化を妨げ、剥離が起こってしまう場合があります。
指版コーティング
次に、コーティング作業に移ります。
コーティング剤の種類にもよりますが、粘度の低いものを使用する場合にはマスキングテープで外周に壁を作るように全体を包みこみます。
大体1.5~2mm、ちょうどフレットの高さ分くらい盛れると良いですね。
作業をする際にネックを専用の枕などに置いて、水平器で水平が出ていることを確認してから作業を進めましょう。
完全硬化まで1日以上かかる場合がほとんどです。
ホコリが混入してしまわないようにビニールで覆ってください。
サンディング
硬化が完了したら再びサンディング。
前段階でしっかりできていればそこまで難易度は高くないでしょうが、この段階でのサンディングした面が最終的な指板となります。
パーフェクトを目指してください!
問題がないようであれば、ナットを取り付けます。
ちょうどフレットと同じくらいにエポキシを盛れていれば、ナット溝の加工は少しで済むでしょう。
調整とやりなおし
最後にネック調整、弦高調整、PU調整、オクターブチューニングをして、ビビりや音の詰まりが見られないようであれば終了です。
ここで音つまりがある場合は、指板面をよく見て、どの部分がゆがんでいるのかを正確に判断し、サンディングをやりなおします。
フレットレス化加工について
Geek IN Boxではフレットレス化加工を承っております。
詳細はこちらの記事をご覧ください。
おわりに
散々書きましたが、もしお気に入りの一本で、失敗が許されないようであれば工房に頼んでください。
一本しか持っていない状態で失敗してしまうと、新しいベースを買わざるをえない状況になり余計にお金がかかってしまいます。
筆者の経験則ですので参考にしてください。
何本かお持ちの方で試しに改造をしてみたいという方は、ぜひ実践してみてください。
フレットレスという楽器は非常にシビアで、実力を痛感することができますが、使いこなすことができれば表現が何倍にも増します。
特別な楽器ですので練習も必要となってきますが、必ず結果は音に表れます。
フレットレスベースで新たなプレイスタイルを身に着けましょう!
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