
ベースによく使うエフェクターとしてコンプレッサー(以下コンプ)が挙げられます。でもコンプレッサーってつまみの内容がレシオだのスレッショルドだのとよくわからないし効果もいまいち分かりづらいんですよね。
今回はコンプの概要や使い方、注意点についてまとめます! なんとなくではなくロジカルに考えて1段階深い音作りをしましょう!
1.コンプってどういうエフェクター?
音量の均一化
ベースは弦が太く、ピッキングやポジションによって音量がまばらです。(図1/A) そこでコンプを掛けることで、大きく出ている音を抑え、小さい音との音量差が縮まります。
その後全体の音量を持ち上げることで、音量を均一に整えます。(図1/B) こうする事で、アンサンブルの基盤となるベースの音量が安定して、アンサンブル自体がドッシリと安定します! また飽和した低音を引き締めることにより、ベースの音程感が分かりやすくなり、ボーカルがピッチを取りやすくなります。
“コンプ感”を色づけ
音を整える以外に、コンプそのもののキャラクター目的に使う事もあります!機種にもよりますが真空管を通したようなサチュレーション(オーバードライブ程ではない淡い歪み)がかかり、温かみや太さ、ツヤが出ます。程よい味付けが加わり、上質な音に仕上げることが出来ます。
2.ロジカルに考える、コンプの設定方法
それではコンプレッサーの設定方法について、順を追って考えてみましょう!
①始めはスレッショルドを低めに
スレッショルド(Threshold)とは、どれくらいの音量からコンプが掛かるようにするかというパラメータです。コンプのキャラクターを把握するため、まずはスレッショルド値を低めに設定します。
②レシオで圧縮比率を調整
レシオ(Ratio)とは、スレッショルド値を越えた音をどれだけ圧縮するかというパラメータです。例えばこれが3:1ならスレッショルドを越えた音量が1/3に圧縮されます。レシオを上げるとコンプが掛かった音が強くなります。バランスの良い所を探して、慎重に設定しましょう!
③アタックタイムを調整
アタックタイム(Attack time)は入力した音にエフェクトをかけ始める早さを設定するパラメータです。アタックタイムを早くすれば音の立ち上がりが潰れ、滑らかなサウンドに。遅くすればピッキング後時間が経ってからコンプが掛かり始めるので、音の立ち上がり成分が残り、よりナチュラルなサウンドになります。
④リリースタイムを調整
リリースタイム(Release time)はスレッショルド値を下回った音に対してエフェクトをかけ続ける長さを調整するパラメータです。リリースを短くすれば、すぐコンプが解除されナチュラルで歯切れのいいサウンドに。長くすれば、コンプが掛かった状態が長く続くので、余韻が太く保たれます。
⑤スレッショルドを高くしていき、適切なスレッショルド値を決める。
①~④をうまく調整した後、スレッショルドを少しずつ高くします。コンプをかけるコツはスラップやピック弾き等で大きく鳴るところだけにかかる事です。普段どおりのピッキングと想定される音量の大きいピッキングを繰り返しながら、慎重にスレッショルドを上げ下げしましょう。
⑥ゲインで出力を調整
①~⑤の調整で変わってしまった音量をゲインで適切に調整します。以上のような手順を踏む事で、どのようなコンプでも上手く設定が出来るはずです。ペダルエフェクターの場合はいくつかのパラメーターが省略、統合しているものがありますが、原理とこの手順を理解していれば設定は難しくありません。
3.注意したい点
オン/オフで変化を確認
コンプレッサーは音を整えるのが目的なので、音色をガラッと変える訳ではありません。そのため、コンプレッサーをかける事でサウンドが悪化していないか、適度なものになっているかをエフェクトのオン/オフを比較して確認しましょう。
かけ過ぎ注意?
コンプが掛かりすぎてしまうと音が引っ込む、音の立ち上がり成分がなくなる、音が鈍くなるといった効果が出てしまい、音抜けが悪くなります。
また深く掛けると演奏の強弱がなくなり、コンプで圧縮した音色に支配されてしまいます。大きいところだけにかかるようなスレッショルド値に設定にして、演奏にダイナミクスが感じられるようにしましょう。
上手くパラメータを設定することでコンプの色付けを適度に乗せつつ、本来の演奏ニュアンスを残すことができます。また、BOSSのBass Comp BC-1Xのようにゲインリダクション・インジケータが付いているペダルもあります。このようなインジケータがあると視覚的に効果が把握出来ます。効果の分かりにくさからコンプを深くかけてしまいがちですが、これなら客観的な目で設定が出来ますね。
4.まとめ
よく「コンプを使うと下手になる。コンプは指で掛けろ。」なんていう人もいますが、コンプレッサーの本質はそうではありません。今回の記事でまとめたように概念を理解してコンプレッサーを設定すれば、クオリティの高いサウンドをスムーズに作れるはずです。コンプレッサーを上手く使って良い音を作りましょう!
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