ベースのレコーディングは一見シンプルなようですが、気をつけるべきポイントはたくさんあります。ダイレクトボックスやマイクなどの機材、EQやリミッターの設定、演奏、段取り、様々な観点から見てみましょう。
目次
- 録音の前に確認するべきポイント
- 録音する内容(演奏)におかしい部分はないか
- クリックを使う場合は事前にバンドで練習する
- レコーディングのタイムテーブルを決めているか
- どんなサウンドを録音するのかイメージする
- ライン録り?マイク録り?録音方法を考える
- アンプやEQの設定を適切に設定する
- 低音が綺麗に録れているか(5弦は特に!)
- 音作りはシールドから! 良質なシールドを選びましょう
- 録音中に気をつけるべきポイント
- 間違えても最後まで演奏する
- 演奏は曲が終わった10秒後まで?
- チューニングはこまめに行う
- まとめ
録音の前に確認するべきポイント
○録音する内容(演奏)におかしい部分はないか
これはベースに限らず、全てのパートに言えることです。演奏が合っているかはもちろん、ベーシストが注視すべきはコード(ルート)です。
ベースはバンドアンサンブルにおいてコードの主導権を担います。ベースが間違った音を出せばコードは成立せず、濁ったり、変な響きになったりするはずです。コード的にアウトすれすれのアレンジもあるかとは思いますが、レコーディング前までにその様な箇所がないかチェックしておきましょう。くれぐれも間違いと認識されるものが、レコーディングで残らない様に。
○クリックを使う場合は事前にバンドで練習する
一定のテンポキープが必要な楽曲はクリックを使うことになります。実はクリックを聴きながら演奏するのは簡単ではありません! 本番で初めて使うと、クリックを意識し過ぎて本来の演奏が出来ないことが多いです。また、クリックは必然的にヘッドホンでのモニターが必要となり、モニター環境が不慣れな中で演奏は難易度が高くなります。そのため、事前にクリックと一緒に演奏出来るように練習しておきましょう。
これは個々のパートが個人で練習ではなく、バンドメンバーでクリックに合わせる練習が必要です。
レコーディングでの失敗は準備不足や知識がないところから発生する場合が多いです。そのようなことを防ぐために、プリプロ※(レコーディングの下準備に行う仮録り)を行うと良いでしょう。音楽スタジオのライン録りでもいいし、MTRを持っていればご自身で収録を進行して感覚を掴むのも良いと思います。
※プリプロについてはこちらの記事もあわせてどうぞ!
レコーディングのために必要? プリプロとはいったい何?
○レコーディングのタイムテーブルを決めているか
無計画にレコーディングを進めていませんか?
特にレコーディングスタジオにお願いする場合は、高い料金を支払って録ることになりますので、効率的なスケジュール進行は必須です。例えば、ドラムのセッティングには結構時間が掛かります! ベースやギターでメインの音色以外に歪やワウなど、別録りするケースもあります。歌はボーカル以外にコーラスがあるかどうかなど、細かく見ていくと収録項目が上がってくると思います。楽曲の構成と収録パートを表にすると分かりやすいです。
また、各パート毎の録音時間の目安を決めておきましょう! 録った後聴く時間も必要ですし、無闇に録り直していくうちに消耗して、OKテイクが当日出ない場合もあります。もっとも、演奏技術に関しては多くても3テイクぐらいでOKが出せるようにしっかり練習しておきましょう。
○どんなサウンドを録音するのかイメージする
これは初心者があまりよく考えないポイントです。レコーディングではレコーダーに音が入るところまではプレーヤーに責任があります! どの様な音を録るのか、その為にどの機材を使うのか選定からレコーディングがスタートしているとも言えます。ライブと違い1曲毎に機材を使い分け出来ますので、バンドのカラーや楽曲によってピッタリなものを考えてみましょう。
ベースの場合はライン録りが主流ですので、ベース本体でサウンドキャラクターの大部分が決まります。スタジオにはレンタル機材がありますので、手持ちにないタイプの楽器は活用するといいでしょう。また音のイメージをしっかりエンジニアに伝えて、完成像を共有しましょう。
○ライン録り?マイク録り?録音方法を考える
ベースの録音方法にはダイレクトボックス等のインターフェースを使ったライン録りと、アンプの音をマイクで拾うマイク録りの2種類があります。ハッキリと骨格が分かるベース音がトレンドの昨今では、ライン録りのみでの録音も多くあります。空気感はドラムやギターに十分あるので、芯をとらえたベース音の方がミックスでバランスが取りやすいのです。
アンプっぽいサウンドを望む場合でもアンプシミュレーターの発達によって、十分なクオリティをもったアンプサウンドがライン録りのテイクから音作りが可能なのが現在のトレンドの理由でしょう。
しかし迫力や腹にくる低音など実機のアンプの音の方がベターな場合もあるので、必要に応じて使い分けましょう! ライン録りはアンプヘッドのラインアウトから録る場合とDIから録る場合があります。DIにもそれぞれサウンドに違いがあり、奥が深いです。
マイク録りはマイクの位置によって音が変わります! しっかりとオンマイクで、キャビネットから一番よく鳴っているポイントを探ります。マイクはバスドラ用によく使われる低域が得意なダイナミックマイクがオススメです。耳を傷めないよう気をつけながら、実際マイクを立てる位置に耳を近づけて音を確かめてみましょう。マイクの位置、距離、向きによってサウンドは大きく異なるので、時間的な余裕があれば様々なパターンでテストしてみるといいでしょう。
○アンプやEQの設定を適切に設定する
低音は他のサウンドをマスキングしやすく、他のパートを邪魔する恐れがあります。アクティブベースやペダルエフェクターを使う人によくある事ですが、ブースト傾向に音作りをしすぎるとゲインが大きくなりがちで、エンジニア側で後からミックスで加工、編集をする際に扱いづらい音になります。EQはどちらかというとマイナス方向で使うくらいの気持ちで、スッキリとした音作りを目指しましょう。
○低音が綺麗に録れているか(5弦は特に!)
5弦ベースプレーヤーは5弦の鳴りについて確認しましょう! 4~1弦と比べると5弦はゲインが大きく、クリップする場合があります。クリップしやすい部分だけにリミッターがかかるようにして、綺麗に低音が録れているか入念に確認しましょう。これはエンジニアさんと相談しながら進めるとスムーズに設定ができるでしょう。
○音作りはシールドから! 良質なシールドを選びましょう
ベース本体から直接音を送る場合が多いので、シールドで音の良し悪しが決まります。レコーディングに限ったことではありませんので、いいものを揃えておきましょう。レコーディングや、ライン録りのツーミックスでのモニターなんかを経験すると、いかにベース本体のセッティング、シールド、弦、そして自分自身のプレイが大事なのかを感じると思います。
録音中に気をつけるべきポイント
○間違えても最後まで演奏する
たとえレコーディング中に間違えたとしても最後まで弾きましょう! 演奏内容によっては間違えたところだけパンチインアウトを使う場合もあります。特にベーシックとなる基本的なアンサンブルをせーので録る事も多いので、大事な事です!気を抜いた演奏になったら他のメンバーにまで影響するわけですから。
○演奏は曲が終わった10秒後まで?
アウトロ手前まではうまく演奏出来ているのに、最後の音が伸びきっていないと録り直しになることがあります。演奏が終わっても5~10秒はレコーディングが続いていると思い、うっかり雑音が入らないよう注意が必要です。
○チューニングはこまめに行う
チューニングがおかしい演奏テイクは話になりません。また古い弦はチューニングが狂いやすいので、本番前に新しいものに変えておきましょう。
まとめ
いかがでしたか?録音には多くのポイントに気を使う必要があります。初めての録音ではなかなか全てをクリアする事は簡単ではありませんが、出来るだけ高いクオリティを出したいですよね。
今回触れたポイントを1つ1つチェックして、完璧なレコーディングを目指しましょう!
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