ギターマガジン・ベースマガジンで日本のエレキギター・ベース工房が特集され、国産楽器の注目度が高まっています。日本で創られているギター&ベースの広報・普及活動を行う団体、GAKKI ENGINE OF NIPPON(以下GEN)に所属しているメーカーと、サウンドメッセin Osaka 2018で展示されていた楽器を本記事では紹介します。
本記事は第一弾、第二段はこちらです → Made in Japan底力 GENグループ所属メーカーレビュー part 2
目次
- Bizen Works
- D’s Design
- Freedom Custom Guitar Research
- HARRY’S ENGINEERING (Dragonfly custom guitars)
- Kz Guitar Works
- Moon Guitars
- PCI JAPAN(Xotic)
Bizen Works
2016年よりスタートした愛知県春日井市の新鋭工房。LPタイプのギターを得意としており、ギターマガジンのギター工房放浪記に掲載されていたGrainはLPタイプでフラットトップという珍しいボディ形状。またボックスジョイントの位置をフロントピックアップまで伸ばしたことにより、ボディーとネックの一体感を高めてサスティーンの長さに大きく影響を与えています。
ギブソンより少し長めのスケールということもあり、クリーンにしっかりとしたハリを感じます。またボリューム操作でクランチの歪み量を調整する際、ボリュームを絞り気味にしてもハイ落ちしないよう設計されていて、元気のある明るいサウンドが好印象です。木工技術に定評があり、演奏性も抜群でした。
D’s Design
茨城県日立市の工房、D’s Designから登場したのはクワガタのようなデザインのDB-1 Insect Bass。
ECSTR NECKという独特な台形型のネックシェイプ、初めは戸惑いつつも弾いてみるとこれまでにない演奏性、フィット感が体感でき、非常に心地よいです。ネックの握る際、力の分散が考えられた設計です。
ピックアップにはEMGのPJスタイルのものを搭載し、WARWICK、SPECTORを連想させる強烈なパワーと鋭いレスポンスのあるサウンドです。サスティーンの長さも素晴らしいです。
ラウド系のバンドでしっかり抜けることをコンセプトとしており、ライブでの使用に細部までこだわった1本。ルックス、演奏性に異彩を放つ唯一無二なベースでした。
Freedom Custom Guitar Research
東京都荒川区に工房を構えるFreedom C.G.R.。新製品のAnthraはフェンダーライクなギラッとした高音を持ちつつ、落ち着きのある独特な雰囲気のサウンド。ピュアなパッシブトーンにオールマイティさを感じます。
また日本古来の建築技術を応用し、木工のみでジョイントを完結させるARIMIZO & One Point Jointを採用したモデル、Rhinoでジョイント部をレンチでしっかり締めた状態と緩めにした状態を弾き比べしました。
音のニュアンス変化が想像以上にあり、緩めるとメロウな質感に。このジョイントはライブやレコーディングの際、EQやベース本体のコントロールに頼らず微調整が出来るため、PAやレコーディングエンジニアからも好評とのこと。経験と技術に裏付けされた高いクオリティを持つベースを製造しているメーカーだと感じました。
HARRY’S ENGINEERING (Dragonfly custom guitars)
東京都渋谷区のHARRY’S ENGINEERINGからは木材本来の色味を生かした渋いギターを多数ラインナップ。
7弦ギターのBORDER 7st.CUSTOM 666はデフォルトで全音下げ(1音下げ)チューニングの状態で、7弦開放はLow-A。一般的なギターに比べると大幅に広い音域をもちます。全音下げにした状態でも音にしっかりハリがあります。ただ重低音が出せるだけでなく、トーンコントロールによってハイパス(ローエンドをカット)させることができ、ラウド系のバンドアンサンブルで低音域がごわつかないよう調整が出来ます。
ディストーション時のバイト感のあるサウンドは絶品。フロント、リアのピックアップにはそれぞれにコイルタップがついており、音作りの幅広さも魅力的ですね。
Kz Guitar Works
神奈川県逗子市に工房を構えるKz Guitar Works。
新作であるKz STはボディーバックとネックにホンジュラス・マホガニーを採用し、ネックジョイントにもセットネックを採用したKz Guitar流のストラトタイプ。カッティングした時のチャキっとした甘いサウンドは絶品。オリジナルピックアップのKGWは60年代のUKサウンドをベースにしており、上品な印象を受けました。またシングルコイルながらも高い対ノイズ特性とビンテージ・ブリティッシュサウンドはプロギタリストからも非常に評価が高いとのこと。アームが淡くかかる感じもいいですね。
QUEENのBrian May Red Specialのオフィシャルシグネイチャーモデルを製作したことで大きく知られており、国内だけでなく海外からの注目度の高いメーカーです。
ちなみにGeek IN Boxでも取り扱いがあります。
【new】 Kz Guitar Works Kz One Junior 3S11 Synchro Black
【new】 Kz Guitar Works Kz One Junior 3S11 T.O.M Antique Mahogany
Moon Guitars
Moon Guitarsからはジャズベースを中心としたシンプルなラインアップの展示。
JB-4 CLASSICは馴染みある通常のジャズベースの演奏性をもちつつ、ビンテージ感のある中・高音域が特徴的です。OXALIS JB-CLASSIC PICKUPはスイス製ワイヤーを使用した完全ハンドワイヤリングしたもので、この煌びやかなサウンドはラリーグラハム氏や須藤満氏などのスラップを得意とするプレーヤーが求めているんだということがよく分かりました。
PCI JAPAN(Xotic)
PCI JAPANが取り扱うのはLA郊外にある演奏性とサウンドを第一に追及したブランド、Xotic。今回展示されていたXJ-1T 5stringはド派手なマルチレイヤードが特徴的な5弦ベース。極薄のラッカー塗装により、木材の鳴りを損なうことなく、ビンテージトーンを追及したモデルです。
1本1本異なる表情にエイジング処理されたXJ-1T 5stringは非常に味わいルックスでした。
まとめ
以上となりますが、いかがでしょうか?
この中で特に印象的だったのはD’s Design DB-1 Insect Bassでした。型にとらわれない独創的なルックスと演奏性はこういった国内工房系メーカーの象徴とも言えるでしょう。またジャズベースなどのクラシカルなモデル一つとってもメーカー独自の要素が入るとサウンドはまるで別物です。楽器制作へのこだわりが凄いメーカーが日本にこんなにもあるなんて、改めて驚きました。本格的な1本を購入する際はこういったメーカーを要チェックですね。
第二段はこちらです → Made in Japan底力 GENグループ所属メーカーレビュー part 2
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