ハイクオリティなモデリングとコストパフォーマンスにより、マルチエフェクターの代表的ブランドとなったZOOM。
待望の新製品であるB1 FOUR / B1X FOURが2019年4月下旬より発売しました。
今回の記事はこのB1X FOURのレビュー記事です。
注目した22種のアンプ、ドライブ、プリアンプなどといったモデリングのサウンドサンプル、動画を用意いたしましたので、楽曲の中でB1X FOURがどのように使えるか、ぜひ参考にしてみてください。
他に、同社の人気機種、MS-60B、B3Nとの違いも記載しています。
概要
B1 FOUR / B1X FOURは70種以上のエフェクト、アンプモデリング、ルーパー、ドラムマシンを内蔵したBass Multi Effects Processorです。
アンプモリングはAmpeg SVT、Trace Elliot AH400SMX、SWR SM-400など。
プリアンプ系はSansAmp BASS DRIVER DI、MXR Bass D.I.+、Xotic Bass BB Preampなど。
コンプはEBS MultiComp、Demeter COMP-1 Compulator、MXR Dyna Compなど。
ドライブ系はBOSS ODB-3、ROGER MAYER VOODOO-BASS、Darkglass Electronics Microtubes B3Kなど。
定番モデルに加え、これまでのZOOMのマルチエフェクターにはなかったベーシスト注目のエフェクト、アンプモデルも集約されており、この1台で多彩に音作りすることが出来ます。
また1つのパッチに対して最大5つのエフェクトを接続できる上、50パッチ保存することが出来ます。
いわばセッティングの異なったエフェクトボードを50式用意することを意味しており、その活用方法は限りなく広いです。
なおエフェクトを重ねて行くことで増幅してしまうノイズはZOOM独自のノイズリダクション、ZNRで抑えられるため不要なノイズは最小限です。
ちなみにB1X FOURの”X”はエクスプレッションペダルのことで、ボリュームペダルを始め、ワウ、ピッチシフトなどペダルアクションでエフェクトを操作することができます。
サウンドサンプル
※実機のモデリングの場合は、実機の機種名。そうでない場合はパッチ名を記載。
ドライブサウンド比較
0:00〜 Darkglass Electronics Microtubes B3K
0:38〜 BOSS ODB-3
0:55〜 BOSS ODB-3 + BaPDLMnP(ペダルピッチシフター)
1:15〜 Maestro Echoplex
アンプモデリング比較
0:00〜 Ampeg SVT CL(実機)
0:21〜 Ampeg SVT + SVT8x10(モデリング)
0:32〜 Trace Elliot AH400SMX + TE4x10
0:48〜 Fender Bassman 100 + FD-B4x12
コーラス比較
テープエコー(全編共通): TapeEcho
0:00〜 tc electronic CORONA Tri-Chorus
0:33〜 BOSS SUPER CHORUS CH-1
プリアンプ比較
0:00〜 SansAmp BASS DRIVER DI
0:17〜 MXR Bass D.I.+
0:30〜 Maestro Echoplex
0:42〜 Darkglass Electronics Microtubes B7K
コンプ比較
プリアンプ(全編共通): AVALON DESIGN U5
0:00〜 Demeter COMP-1 Compulator
0:20〜 EBS MultiComp (MODE:MB)
0:34〜 MXR Dyna Comp
シンセベース比較
0:00〜 StdSyn
0:21〜 Z-Syn
0:37〜 Roland JET PHASER
リズムマシン&ルーパー
0:00~ (バッキング): SWR SM-400 + SMR4x10TW
0:27~ (リード): ROGER MAYER VOODOO-BASS
1:15~ (リード): BassWah(ペダルワウ)
B1X FOURの特徴
ハイクオリティなサウンド
なんと言ってもそのクオリティの高いサウンド、モデリング能力の高さが一番の特徴です。
サウンドサンプルでは実機のアンプ(Ampeg SVT CL)とB1X FOURのアンプモデリング(Ampeg SVT+ SVT8x10)を比較していますが、キャラクターをしっかり捉え、実機のニュアンスを再現しています。
そして今回非常に印象的だったのはドライブ系ペダルのDarkglass Electronics Microtubes B3K。
Darkglass Electronics特有のややハイファイでゴリゴリとしたドライブサウンドは、同社のアンプヘッドや歪みペダルで音作りしたものをリアルに連想できました。
他にもBassOctFZというアッパー・オクターブを加えたファズは、強烈なキャラクターかつ音が膨らみ過ぎないので、アンサンブルの中でも扱いやすく、実践的に使うことができます。
全体的にサウンドのクオリティが上がっている中、特にドライブサウンドの完成度が高いです。
ZOOMは空間系のエフェクトが得意なイメージですが、ベーシストが求めるエフェクトの中で優先度の高いドライブサウンドを入念にプログラムしていると感じました。
ヘッドホンアウト・AUX IN
AUX INにオーディオプレーヤーを繋いで、音源とベースの音を出力端子につないだヘッドホンでモニターをしながら演奏できます。
音源やB1 FOUR / B1X FOUR内のステレオエフェクトもヘッドホン内でしっかりとステレオでモニターでき、良好です。
単にエフェクターとしてではなく、自宅やライブ前に控室などで使える練習アイテムとして活用できます。
ドラムマシン&ルーパー
基本の8ビートを始め、ロック、ファンク、ジャズなど、一通りのジャンルを網羅したリズムパターンとメトロノームの合計68種類用意されており、リズム練習するのにコレ1台で完結できます。
リズムマシンは該当ボタンを押し、リズムパターンを選んでテンポを設定し、再生するのみ。
ルーパーについても該当ボタンを押し、ループの録音時間(最大30秒)やループの停止方法を設定したらループフレーズをオーバーダブするだけの簡単操作。
なおテンポはリズムマシンやルーパー、関連エフェクト内で同期しています。
リズムマシンを流し、バッキングのフレーズをルーパーで鳴らしながら、設定したパッチを切り替えてリードパートの演奏ができます。
ベーシスト一人でアンサンブルを構築する、ソロベースを披露する際にも大いに役立つでしょう。
使用感
初めてマルチエフェクターを使う人にも分かりやすく、シンプルに扱えるように設計されています。
ディスプレイは横長でページ送りが最小限。
エフェクトのオン・オフも視覚的に分かりやすいです。
またオートセーブ機能により、直前の設定を逃がしません。
パッチユーザーエリアは合計50パターンとちょうどいい保存数であるため、バリエーションを持たせつつ、音作りしたパッチが迷子になりにくいと感じました。
エフェクト数もB1 FOUR: 65エフェクト / B1X FOUR: 71エフェクトと厳選されているため、数が多すぎて選び切れないと言うこともないでしょう。
さらにエクスプレッションペダルの動作も良好で、レイテンシー(エフェクト音の遅れ)は感じませんでした。
ペダルアクションがきちんとついてきてくれるので、ペダルワウやピッチシフターを積極的に使っていけます。
懸念点、注意点
いいところがたくさんありますが、使っていて気になったポイントを4点上げます。
切り替えスイッチが小さい
サイズがコンパクトであるが故の懸念点。
特にB1X FOURの右側の切り替えスイッチは、左側の切り替えスイッチと、エクスプレッションペダルの間にあります。
足が大きい人の場合は、足の入れ方を工夫する必要があるでしょう。
チューナーモードへの切り替え
左側と右側、二つの切り替えスイッチを同時押しすることによりチューナーが起動しますが、エフェクト切り替え時に踏み間違えないよう注意が必要です。
なおチューニング中に音が出るBYPASSモードと、音が出ないMUTEモードがあります。
万が一踏み間違えても演奏中に音が出なくならないようにするためには、BYPASSモードにすればよいでしょう。
ACアダプターは別売り
本エフェクターは単3電池4本を入れるか、ACアダプターを接続することで駆動します。
単3電池4本が付属していますが、じっくりと音作りする場合には、電池の残量を気にせず使えるACアダプターが必要となります。
ACアダプター(AD-16)は別売りとなっていますので、B1 FOUR / B1X FOURを購入する際は、合わせて購入することをオススメします。
もっとも、9V出力のパワーサプライをお持ちであればアダプターは不要です。
Guitar Lab 追加エフェクト
エフェクトリスト内、青い★マークのついたエフェクトを使用したい場合は、Guitar Labをパソコンにインストールの上、B1 FOUR / B1X FOURを接続し、設定する必要があります。
マークをクリックするとエフェクトが追加されます。
逆に必要のないエフェクトは右クリック→本体から削除にて、B1 FOUR / B1X FOUR内のエフェクトから外すことも出来ます。
BOSS ODB-3や、使い勝手の良いZOOM標準のベースシンセ(StdSyn)などが該当するので、気になるエフェクトはGuitar Labで確認してみましょう。
MS-60B、B3Nとの比較
エフェクトタイプ (2019年5月現在)
B1 FOUR: 65
B1X FOUR: 71
MS-60B(ver. 2): 142
B3N: 105
同時使用エフェクト
B1 FOUR: 5
B1X FOUR: 5
MS-60B: 4
B3N: 7
パッチユーザーエリア
B1 FOUR: 50
B1X FOUR: 50
MS-60B: 50
B3N: 150
寸法
B1 FOUR: 156 (D) × 130 (W) × 42 mm (H)
B1X FOUR: 156 (D) × 216 (W) × 52 mm (H)
MS-60B: 130.3 (D) x 77.5 (W) x 58.5 mm (H)
B3N: 181 (D) x 234 (W) x 58 (H) mm
重量
B1 FOUR: 340g (電池含まず)
B1X FOUR: 610g (電池含まず)
MS-60B: 350g (電池含まず)
B3N: 1.28kg
電源
B1 FOUR: 単3乾電池4本・ACアダプター
B1X FOUR: 単3乾電池4本・ACアダプター
MS-60B: 単3乾電池2本・ACアダプター
B3N: ACアダプターのみ
液晶パネル
B1 FOUR: 横長ディスプレイ x 1
B1X FOUR: 横長ディスプレイ x 1
MS-60B: 長方形ディスプレイ x 1
B3N: 横長ディスプレイ×3
効果調整
B1 FOUR: 4つのノブで調整可
B1X FOUR: 4つのノブで調整可
MS-60B: 3つのノブで調整可
B3N: 4つのノブで調整可
USB
B1 FOUR: USB MIDI、USB Micro-B
B1X FOUR: USB MIDI、USB Micro-B
MS-60B: Busパワー、ファームウェア・アップデート
B3N: USB MIDI、USB Micro-B
入力
B1 FOUR: 標準モノラルフォーンジャック
B1X FOUR: 標準モノラルフォーンジャック
MS-60B: 標準モノラルフォーンジャック
B3N: 標準モノラルフォーンジャック
オーディオ出力
B1 FOUR: 標準ステレオフォーンジャック(ライン/ ヘッドフォン兼用)
B1X FOUR: 標準ステレオフォーンジャック(ライン/ ヘッドフォン兼用)
MS-60B: 標準モノラルフォーンジャック x 2 (L/R)
B3N: (L)標準ステレオフォーンジャック(ライン/ヘッドフォン兼用)
(R) 標準フォーンジャック
リズム・パターン
B1 FOUR: 68種類
B1X FOUR: 68種類
MS-60B: リズムマシンなし
B3N: 68種類
ルーパー最長録音時間
B1 FOUR: 30秒
B1X FOUR: 30秒
MS-60B: ルーパーなし
B3N: 80秒
Guitar Lab
B1 FOUR: 対応
B1X FOUR: 対応
MS-60B: 非対応
B3N: 対応
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まとめ
以上ですが、いかがでしょうか?
多彩かつ本格的なサウンドと利便性、操作性を兼ね揃えたB1 FOUR /B1X FOURはまさにマルチな存在。
ベーシストにとってマルチエフェクターの使い方を変えてしまう、新たな可能性を感じました。
ベースでエフェクターを使ってみたいけど、何を選べばいいか分からない方は、まずこのB1 FOUR /B1X FOURを買うことをオススメします。
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