ディレイエフェクターのベースにおける効果的な使い方、おすすめ製品

ディレイなどの空間系エフェクターは一般的にギターやキーボードなど上物パートやボーカルにかけるのが一般的です。
ベースのフレーズを印象づけたい場合にも、このような空間系エフェクターを使うことは非常に効果的ですが、低音パートであるベースにディレイをかける際、注意したいポイントがいくつかあります。

今回はディレイの概要、基本的なパラメーターの解説、ベースにかける上での注意点、オススメのペダルエフェクターを紹介します。

ディレイとは?


ベーシストにとってディレイなどの空間系エフェクターはあまり馴染みのないものかもしれません。
バンドアンサンブルにおいてベースはドラムとリズムを構築したり、コードの土台となるルートを中心に担当したりするため、基本的には安定感のある生音が求められるからです。

ですので、まずはディレイというエフェクターがどういった効果を得るためのものなのか、一度おさらいしましょう。

ディレイとは、簡単に説明するといわゆるやまびこ効果を人工的に作るエフェクターです。

例えば山の頂上で、「ヤッホー」と隣の山へ叫んだら、「ヤッホー」という声が反射して返ってきます。
音は常温で秒速約340mなので、隣の山までの距離が340mだとするとやまびこは山と山を往復し、約2秒後に返ってきます。

このやまびこの音質や、元の音が反射してやまびこが返ってくるまでの時間、反射する回数を電気的、電子的に操作し、空間を演出するのがディレイというエフェクターです。

やまびこというのはつまりは音の反響です。
これは山だけにあらずで、例えばホールの中で手を叩くと深い響きが生まれるのも同じ、リビングで歌うのとお風呂場で歌うのとでは響きが違うのも同じ原理だと言えますね。

自宅の小さい部屋で楽器を演奏していたとしても、ディレイやリバーブを駆使すればある程度の空間の中で音を出した時のような自然さや、まるでスタジアムで弾いているような響きすら再現出来るます。

なおこれらの空間系エフェクターは単に響きを得るだけでなく、音像をぼかして奥へ引っ込ませる効果もあります。
レコーディングなどで奥行きを表現する場合、アンサンブルに馴染むような音作りの一環として、空間系エフェクターを活用するシーンもあります。

ディレイの基本的なパラメーター


ディレイエフェクターのコントロールには独特のパラメーターが存在します。
これを理解していなければ音作りは不可能です。

ディレイタイム

元の音が鳴ってからディレイ音がどれくらいの時間で鳴り始めるか調整するパラメーター。
ミリセカンド(1000分の1秒)単位でディレイ音を調整し、50msなら0.05秒後にディレイ音、リバーブ音が鳴ります。

あるいは楽曲のBPMをエフェクター内で設定し、4分や付点8分など一定のテンポで規則正しくディレイ音を鳴らすことが出来る機種もあります。

フィードバック

ディレイ音の回数を決めるパラメーター。
フィードバックの数値を上げるほど、やまびこ、残響が繰り返し鳴り続けます。

トーン

本来やまびこは音が跳ね返ってくる訳ですから、全く同じ音質の音ではなく、元の音から劣化したものがディレイ音として返ってきます。
このディレイ音の音質を調整するのにトーンを使います。

中にはローパスフィルター、ハイパスフィルターが備わっている機種もあれば、ディレイ音の質感が予めチューンナップされているものもあり、アナログタイプのディレイはその独特なキャラクターを求めて愛用するユーザーが多いです。

ミックス(エフェクトレベルまたはバランス)

原音とエフェクト音の比率を決めるパラメーター。
同じ意味で使われるバランスや原音の音量は変わらず、ディレイ音の音量のみを調整するエフェクトレベルは非常に重要なパラメーターです。

ベースにディレイをかける時の注意点

センドアンドリターン接続


ベースに限らず、空間系エフェクターをかける際はセンドアンドリターン接続が基本です。
センドアンドリターンとは、ベースアンプのプリアンプとパワーアンプの間にエフェクターを接続する方法です。

メーカによってはセンドはプリアンプ・アウト、リターンはパワーアンプ・インと呼ぶものもあります。

こうすることで原音を出力しつつ、エフェクト音を任意の音量で出力することができます。
また接続が直列(インサート接続)であっても、ミックス(機種によってはエフェクトレベル、バランス)を調整することにより、原音とエフェクト音の比率を調整することが出来ます。
しかしベースの場合、あまりに原音の成分が少ないと原音が見えづらくなり、アンサンブルを崩してしまう場合があります。

そのため、過度に原音が少ない設定は控えるべきでしょう。
アンサンブルによっては音がただ埋もれるだけの状態になりかねないので、注意が必要です。

下記の記事にも詳しく書いていますので、ご覧ください。

ベースアンプのセンドリターンの使い方 正解はプリスルー?

ディレイ音をローカット

ベースに空間系エフェクトをかける際に注意したいのが低音のマスキングです。
マスキングとは2つ以上の音がぶつかって互いを打ち消しあうことを指しますが、低音は特にマスキングに対して大きな影響力を持ちます。
ベースの場合は原音に対して後から鳴るベースのディレイ音がマスキングしてしまい、ベース単体で音が干渉してしまう恐れがあります。

これを避けるため、エフェクト音に対してローカットすることにより、原音を見えやすくし、エフェクト音をスッキリ聴かせることができます。
なおローカットのポイントはベースの低音部分である200hz辺りのローエンドからバッサリ切ってしまいましょう。

原音を弾いた後、ベース本体のキャラクター反映される中音域?高音域が中心にディレイ音が返ってくるようにしましょう。

オススメのディレイ


実際にディレイペダルを探してみるとわかると思いますが、その種類は多岐にわたります。
こちらでは中からベースに使うのにおすすめのものを厳選して紹介いたします。

ZOOM MS-60B


ベース用のディレイって意外に専用機種がないので、あえてマルチエフェクターのZOOM MS-60Bをオススメします。

ディレイのエフェクトタイプはどれもディレイ音が適度にローカットされて、上記で記載した低音カブリ、マスキングすることなく、綺麗にディレイ効果が得れます。
中でもオススメのエフェクトタイプはBOSS DD-20のSMOOTHモードをモデリングしたSmoothDlyです。

上記で解説したディレイタイム、フィードバック、トーン、エフェクトレベルというシンプルな構成で、ディレイを使い慣れていないベーシストにも扱いやすいです。
またディレイタイムは1?3000msの間で調整できるほか、左側のパラメーターノブをタップすることで、BPMを設定し、4分や付点8分など一定のテンポで規則正しくディレイ音を鳴らすことができます。

さらにTailというパラメーターは、ONにすることでエフェクトをオフにした後でも、ディレイ音を継続します。
パッチを切り替えた際、ディレイ音が持続することにより、ディレイ音を切らさず、綺麗に音をつなぐことができます。

ちなみにOFFの状態だと、エフェクトをオフにすると、同時にエフェクト音も止まります。
瞬時にディレイ音を切りたいケースにはOFFにするとよいでしょう。
ディレイ音の余韻による足元の操作にも配慮が感じられます。

他にも原音に対して逆再生したディレイ音を鳴らすことができるReverseDLや、ディレイ音にフィルター効果のエフェクトをかけることができるFilterDlyなど、このZOOM MS-60Bには25種類と豊富なバリエーションのディレイが備わっています。

なおディレイ以外のエフェクトも最大4つまでMS-60B内で接続可能なので、ディレイにコーラスを加えてよりディープなモジュレーション効果を狙ったり、オーバードライブの後にディレイを追加して、ギターソロのようにベースを歌わせるようにすることも出来ます。

ベース用にディレイがしっかり設計されていることが分かりますね。
ZOOMは空間系のエフェクトを得意とするメーカーですので、まずはMS-60Bでベースディレイの質感を試してみることをオススメします。

下記の記事で詳しく取り上げておりますので、参考にしてみて下さい。

【レビュー】ZOOM MS-60B レビュー 機能や価格、そして欠点も徹底解説!

BOSS / DD-7


デジタルディレイの定番モデル。
エフェクトレベル、フィードバック、ディレイタイムを設定し、8種類のモードを選ぶことで多彩なディレイサウンドを演出できます。

リアルタイムでの演奏を最長40秒まで録音してループさせ、その上にさらに音を重ねるSOS(サウンドオンサウンド)機能を使ったホールドモードや逆再生サウンドを作るリバースモードも搭載。
コンパクトながら1msのショートディレイから、6400msのロングディレイまで、シンプルな操作で幅広く活用できるディレイペダルです。

Effects Bakery / French Bread Delay


アナログディレイやテープエコーのような温かい残響音が特徴的なディレイペダル。
ディレイ音が適度に減衰していて、アンサンブルに馴染みやすいそのキャラクターが、ベースと合わせても心地よいです。

上記の2機種と比べると音作りできる範囲が広い訳ではありませんが、BLEND、TIME、REPEATの3つのノブで、簡単に音作りができるところがポイントです。
そしてディレイペダルとしてのクオリティが高いのに、価格がリーズナブルなところも魅力の一つ。

ペダルボードにディレイを加える際、持っていて損はないディレイペダルです。


ベースディレイの使用事例

こちらは”ギター殺し”のテクニカルベーシスト、MASAKI氏によるLine6 Helix Floorのデモンストレーション動画ですが、序盤のタッピングやスラップ気味にリードを弾く際にディレイを使っています。

このように空間系のエフェクターを使うことで、フレーズに影を作ってリードを彩ることが出来ますタッピングする際にも、ディレイをかけることで、複雑な響きにさせて和音を聴かせることができます。

空間系のエフェクターで作ったサウンドは音がぼやけるため、生音に比べて、マイルドな印象になります。

アタッキーなスラップサウンドも綺麗に聴きやすくなるため、ソロベースにもいいのではないのはないでしょうか?

ちなみにマルチエフェクターはディレイはもちろん、一通りのエフェクトを網羅しているので、ドライブやコーラスなど他のエフェクトと組み合わせを手軽に確認することができます。

ベースのマルチエフェクターに関してこちらの記事でも解説していますので、よろしければご覧下さい。

使いこなせばライブで大活躍のベース用マルチエフェクターの使い方やおすすめモデル

まとめ

ベースでディレイというとエフェクト的、飛び道具として使うケースが圧倒的に多いと思いますが、奥行きを表現するのに有効的なエフェクトです。

またディレイの意味や効果を理解することで、アンサンブルでの各パートの前後感を調整することができますので、バンドサウンドを構築する上でこう言った知識は役立つのではないでしょうか?

ベーシストがディレイを理解する上で、この記事が参考になれば幸いです。





大手楽器店での販売、修理業務やプロベーシストのローディー経験の後に海外向けの小売業に従事。その後ベースショップGeek IN Boxを立ち上げ、現在はGeek IN Boxの運営の他にベースマガジンなどでの執筆を多数担当。Twitter : @SAxGA

 

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