ベース用オクターバーの使い方と音作りのコツ

オクターバーとは原音に対して1オクターブ、もしくは2オクターブ下のサウンドを原音と重ねて出力するエフェクターです。ベースにかけることで、例えばシンセ風のサウンドにしたり、通常ではありえないほどにヘヴィなサウンドを作ることが出来ます。

今回はオススメのベース用オクターバーと音作りのポイント、プレーする上での注意点を解説して、最後におすすめのオクターバーとしてBOSSとAguilarの製品を紹介します。

Contents

目次

  • オクターバーの原理
  • 超低音域をカバーする音作り
    • 原音を下げ過ぎない
    • イコライジングのコツ
    • 低すぎる帯域は弾かない
  • シンセベース風の音作り
    • エフェクト音と原音のバランス
    • ドライブをうまくかける
    • ノイズゲートでリリースにタイトさを加える
  •  おすすめのオクターバー
    • BOSS / OC-3
    • AGUILAR / OCTAMIZER OCTAVE PEDAL
  • まとめ

オクターバーの原理

オクターバーはファズの基本原理を応用したエフェクトです。ファズは強烈な歪みの付加により、入力波形を短形波(シンセサイザーの波形で言うならSquare Wave)状態に変えます。これをフリップフロップと呼ばれる入力波形の立ち上がるポイントで、+と-を反転させる回路に通すと、以下のように短形波のサイズが倍になります。

これにより、1オクターブ下の音を出力できるようになるのです。ファズペダルにオクターバーの機能を内蔵しているものがあるのは、この基本原理が同じだからです。

超低音域をカバーする音作り

原音を下げ過ぎない

オクターバーを使って、オクターブ下の音だけを鳴らすと、輪郭がぼやけた薄いサウンドになります。前述した通り、オクターブ下の音は原音を加工して作ったサウンドなので、生の瑞々しいサウンドとは違います。そのため、原音を下げ過ぎるとサウンド自体がぼやけてしまうので、注意しましょう。

イコライジングのコツ

オクターバーをかけると、低音が出ているはずなのに迫力がなく弱々しいサウンドだと感じる経験はありませんか? これは原音とオクターブ下の音が重なって低音域が太くなり過ぎてしまい、ベースの低音域が中音域や高音域を邪魔している(マスキングしている)からです。原音、1オクターブ下、そして2つをブレンドしたものをアナライザーで比較して見てみましょう。

このデータは3弦5フレットのDを弾いた際のものですが、1オクターブ下を追加したことによって最終的な出音は20~250hz辺りまで低音域が大きく出た状態になっています。このように低音域が出過ぎてしまうと音が鈍くなってしまいます。そのため、聴覚上では分かりにくい35hz以下をEQでバッサリとローカットしてしまいましょう。そうすることでタイトな低音になり、中音域、高音域が聞こえやすくなります。またオクターバーをかけた後にEQで400~500hzを持ち上げることで、音の軸がしっかりして、アンサンブルの中でも存在感のあるベースサウンドを聞かせることができます。

Point

EQで40hz以下をカットしてタイトにし、400~500hzあたりをブーストして、音の軸を作る。

低過ぎる帯域は弾かない

ベースにオクターブ下の音を加えると、ポジションによっては音が低すぎて聴き取りにくい場合があります。人間の聴覚上、20hz以下の低音域は鳴っていても感じ取ることが出来ません。そのため、4弦のローフレットで弾いた時のオクターブ下の音は上手く聴き取れず、またオクターバーも正常に動作しないことがあります。ですので、オクターバーを使うときには低い帯域をカバーするにしても4弦5フレット、3弦開放弦以上のポジションを使うのがベターです。

Pointオクターバーを使うなら4弦5フレット、3弦開放弦より上の音域で使う

シンセベース風の音作り

エフェクト音と原音のバランス

シンセベースの音作りの手法として原音にオクターブ下、あるいはオクターブ上の音も重ねて厚みを出すという方法が挙げられます。この際に注意したいのは低音域を弾いた時に、ローエンドが膨らみ過ぎないようにすることと、原音とオクターブ下の音が両方重なって聞こえるようにすること。おすすめは原音がメインの音程としてオクターブ下の音はその20~30%ぐらいの音量にセッティングすることです。

Point

オクターブ下の音は原音に対して20~30%ぐらいに

ドライブをうまくかける

オクターバーを掛けると原音とオクターブ下の音がまるで別々のようにサウンドしてしまうことがあります。そんな場合にお勧めなのが、ドライブをかけること。オクターブサウンドはディストーションやファズなど歪みが深く、粗めのものと相性がよく、上手くドライブさせることでまとまりがありつつも太く転がるようなサウンドを作ることが出来ます。

ノイズゲートでリリースにタイトさを加える

鍵盤で弾くシンセベースは歯切れがよく、鍵盤から指を離すと音がすぐに消えます(当然ですが・・・)。これと同じニュアンスを出すためにもってこいなのがノイズゲートスレッショルドは高めに設定しておき、小さい信号では音が出ないようにすると、シンセベースらしいタイトさが出せます。エフェクトペダルでシンセサウンドを作るベーシストは少なくありませんが、この方法はポピュラーではありません。しかし有効です。お試しあれ。

おすすめのオクターバー

BOSS / OC-3


定番のエフェクターブランド、BOSSのオクターバーであるOC-3。ギター/ベースの周波数特性に合わせるため、インプット端子がそれぞれ専用に設けられています。シンプルなOCT2モード、和音対応のポリフォニックモード、歪みを加えるドライブモードと、3つのモードを搭載した優れものです。

オクターバーとしては世界初となる和音入力にも対応するポリフォニックモードを搭載。複数の弦を同時に鳴らしても全ての弦をトラッキングしてオクターブ音を加えることができます。調整によってオクターバーをかける帯域を指定して、低音部分のみにオクターバーをかけるといったこともできます。単音にしか対応しないオクターバーではうっかり2つ以上の音を出してしまったときにトラッキングがうまくいかずにエラーが起きてしまいます。その点ポリフォニックモードはズボラに弾いても安心。

OCT2モードでは原音・1オクターブ下に2オクターブ下の音を加えることができ、より重厚なサウンドが得られます。ドライブモードでは歪みを加えることができるため、シンセサイザーのようなサウンドメイクに大きく役立ちます。

ちなみにOUTPUTとDIRECT OUTの2つの出力端子を搭載しており、原音をオクターブ音を分けて出力することだって出来ます。ピッチの精度も高く、非常に汎用性の高いオクターバーペダルです。

(参考価格¥11,880 (税込))


AGUILAR / OCTAMIZER OCTAVE PEDAL

高品位なエフェクター、アンプを精力的に開発するAGUILARよりリリースされている、ベース用にチューンナップされたオクターバー。クリーン(原音)とオクターブ(1オクターブ下)個別にレベル調整ができることに加え、クリーンにはトーンコントロールも備え付けています。オクターバーを使うことによって、音抜けが悪くなる場合がありますが、このトーンを上げることによってハリのある原音を出すことができ、アンサンブルで埋もれないよう音作りができます。

そしてオクターブ・フィルターでオクターブ下の音を80~800hzの間の帯域に特徴、クセを持たせることができます。マルチポール・ローパス・フィルターと言って指定した帯域をブーストすることにより、例えばオクターブ下のローエンドを際立たせたり、抜けの良い音作りができます。

立体感があり、重厚なベース用オクターバー。ずっしりとしたオクターバーサウンドが必要な人にオススメしたいです。

(参考価格:¥16,740 (税込))


まとめ

以上となりますが、いかがでしょうか?

最近では様々なジャンルの音楽がポピュラーになりつつあり、ベーシストに求められる音色にも幅があります。

ベースシンセサウンドというのは非常にポピュラーな種類で、そのサウンドを作るのにオクターバーは非常に有用。

他のエフェクターとの組み合わせでも有効な効果が得られるので、さまざまな組み合わせを試してみてください。





 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でGeek IN Boxをフォローしよう!