ラック式のエフェクターの概要やメリット、サイズについて解説!

「ラック式エフェクター」と聞いて何を連想しますか?「プロっぽい」「あぁそんな時代もあったなぁ」など様々な連想をされると思います。

1980年代にギタリストたちの間でラック式エフェクターを使うのがブームになり、冷蔵庫のような巨大なエフェクトシステムを使うのがプロの世界の常識でした。

「ラック式エフェクター」と「ペダルエフェクター」は「プロ」と「アマ」の大きな隔たりを象徴するものであり、当時のアマチュアは「あぁ僕もプロになったらラック式エフェクターシステムを構築してツアーするのだ」と夢を見たものです。

最近はデジタル技術の進化によりエフェクターのコンパクト化が進み、価格もアマチュアでも手の届くもので十分にクオリティの高いものが量産されるようになったこともあり、現在はプロでもコンパクトエフェクターを使用するのが主流になっています。

コンパクトエフェクターでも十分なクオリティのサウンドを出せるこの時代に、あえてラック式エフェクターを使うメリットを紹介いたします。

ラック式エフェクターの”ラック”とは


本題に入る前にラックとは何かを説明しておきます。

ラックとは音響機材を固定し収めるために統一規格をもつ棚またはケースのことです。

横幅は19インチ(=482.6mm)規格に統一され、縦幅ピッチは1U=44.45mmとなっています。

例えば4Uのラックケースには1Uの機材が4つ収納出来るし、2U機材なら2つ、3U+1Uといった組み合わせも出来ます。

ラックケースには4Uから8Uくらいの可搬式のものと、スタジオなどに常設する据え置き型のものがあります。

可搬式のものには樹脂製や塩ビ製のもの、ショルダーストラップがついたバッグタイプなどの種類があり、据え置き型のスタジオラックにはスチール製やカーペット張り仕様のもの、木製(または木製ラミネート)のものなどがあります。

ラックケースは大きな楽器店やオンラインサイトで入手することができます。

以上を理由に、ラック式エフェクターとはラックに固定するタイプのエフェクターを指します。

ラック式エフェクターのメリット

なんといっても音質が良い

先に書いたようにコンパクトエフェクターの進化によってその音質は向上しましたが、未だにコンパクトエフェクターの謳い文句に「ラック式エフェクターに匹敵する」などと書かれているのは、やはりコンパクトサイズでは音質ではラック式エフェクターに及ばない点があるからです。

空間系エフェクターにはコンパクトに収まらない回路を積んでいたり、専用で電源を引っ張ったりするので、音質ではラック式エフェクターに軍配が上がることが少なくありません。

またラック式エフェクターのならではと言える筐体の体積の大きさを活かした作りによって、例えばサイズの大きいチューブを内蔵したり、大きな電源、トランスを内蔵することが可能で、より自由度が高いと言えます。

サイズが大きいからこその優れた操作性

ラック式エフェクターはコンパクトエフェクターに比べて筐体が大きいために操作性において大きなアドバンテージがあります。

例えば、コントロールをより多く配置できることでコンパクトエフェクターよりも細かい調整が可能です。

また液晶表示パネルを持つ機種ではラック式の場合表示面積を大きく取れるので、より多くの情報をわかりやすく表示できるメリットがあります。

また目線の高さにラックを置くとフロア式と違って屈んで調整しなくていいので、この点もラック式エフェクターならではのメリットと言えます。

入出力端子の多さ


パネルが大きいために入出力端子を多く配置できるので、例えばステレオアウトやパラレルアウトができるものや、XLR端子から直接ダイレクトアウトできるような機種もお送ります。

これらの機種では信号を分けて別々のアンプに出力したり、アンプ無しで直接PAに信号を送ったり、自由なシステムづくりができるのがメリットです。

またMIDI端子を持つものはMIDIコントローラーを使えば音色の切り替えが瞬時にでき、複数台のエフェクターを自在にコントロール可能です。

USB端子を持つものはパッチをパソコンで管理できるものや、オーディオインターフェイスとしての機能を持つものが多く、レコーディング時には非常に役立ちます。

欲しいサウンドをパッケージ化、システム化


ラック式エフェクターは様々なスタイルに応じてシステムを組むことができ、また場面に応じて小分けにしたシステムを組み合わせられるメリットがあります。

例えばリハーサル用には「プリアンプ→空間系エフェクター」といったラックを組み、スタジオのアンプのリターン端子に入力する手法でなら最小で2U、パワーディストリビューターを含めても3Uというコンパクトなサイズのシステムでハイクオリティな音色のシステムが組めます。

より音色にこだわりたいライブ本番では上記のシステム加えてパワーアンプ、スピーカーまで自分の気に入ったもので揃えれば音の出口まで自分の好みの音色がいつでもどこでも出せるようになります。

またレコーディングやライブ用に単体のラック式のキャビネットシミュレーターとアンプヘッドとの組み合わせで、あえてパワーアンプやキャビネットを使わずにマイキング無しでダイレクトにPAやレコーダーに信号を送ることで、狙った音を信号のロスが極力少ない状態で出力させるスタイルも可能です。

このようにスタイルや場面に応じて自由にシステムを構築できるのがラック式エフェクターのメリットの一つです。

ラック全盛期(70~90年代)のサウンドを


ラック式エフェクターの全盛期だった機材を導入できるメリットも見逃せません。

RockmanADAのプリアンプはギタリストに未だに根強い人気があり、その機材でしか出せない音があります。

またEVENTIDEのハーモナイザーH3000、KORG SDD-3000、YAMAHA SPXシリーズなど空間系エフェクターの歴史的名器と言われる機材を導入できるメリットも忘れてはならないところです。

これらの機材と現在の機材を組み合わせることで音色に拘りつつも利便性の高いシステムを構築することが出来ます。

まとめ


以上のようにラック式エフェクターを導入するメリットは数え切れないくらい多くあります。今まで「大きいから」「高いから」「難しそう」といった理由でラック式エフェクターを敬遠していた方も、これを機にぜひラック式エフェクターに目を向けてみてください。コンパクトエフェクターとは別次元の新しい世界が拓けると思います。

大手楽器店での販売、修理業務やプロベーシストのローディー経験の後に海外向けの小売業に従事。その後ベースショップGeek IN Boxを立ち上げ、現在はGeek IN Boxの運営の他にベースマガジンなどでの執筆を多数担当。Twitter : @SAxGA

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