テンションという単語が示す2つの意味

こんばんは、嵯峨駿介です。

 

テンションってよく聞く単語ですが、これなんなんでしょう。知ってます?

 

ギター業界で最も誤解を生みやすい単語といっても過言ではないくらいに曖昧な認識がされている「テンション」、これについて考えてみましょう。

 

 

英語で書くとtension、その意味は物理的には張力を指します。

張力の大きさや方向までは指していないのがわかりづらい単語となった所以かもしれません。

 

 

ギター業界の人間がテンションという言葉を使って話す時、意味合いとしては大きく2つあります。

(と思ってます)

 

まず1つ目。

張力の強さ

 

同じゲージ、同じスケール、同じ音程なら当然張力の強さは同じです。

 

 

そして2つ目。

張力の方向

 

これが何かというと、弦が接点(ブリッジやナット)を押さえつける方向の事です。

 

ブリッジやナット部分で弦は曲がりますが、この曲がる方向によって張力の掛かる方向が変わってきます。

テンションという単語が示す3つの意味1

AよりもBの方がボールエンドまでの距離が長く、ブリッジサドルでの曲がり方が緩いですよね。

 

当然この角度がきつい方がブリッジをボディに押し付ける力は強くなります。

 

リプレイスメントブリッジとして知られているバダスはボールエンドからサドルまでの距離がフェンダータイプよりも長いため、この角度も変化し、弾き心地も大きく変わります。

 

ヘッドに取り付けるテンションバーというパーツも同じですね。

テンションという単語が示す3つの意味2

 

これをきつく締めると、弦がナットを押さえつける力が強くなります。

この角度は楽器のデザインにおいて非常に重要なポイントであることは各メーカーの創意工夫を見ると明らかです。

 

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ペグの取り付け部分を落とし込んだり。

低音弦側だけ段差をつけられていたり。

(Laklandの場合はちょっと理由が違いますが)

 

ちなみに昔僕はこうしました。

テンションという単語が示す3つの意味4

かなりわかりづらいかもしれません。

テンションという単語が示す3つの意味5

 

 

角度付きのヘッドですが、その角度が低音弦側では大きく、高音弦側では小さくなるようにデザインしました。

 

この時は35インチのスケールを設定しました。

35インチって、低音弦の鳴り方は強くなるんですけど、高音弦はきつくなりすぎて倍音が全然なくなったりするんですよね。(間違えたデザインをすると)

 

低音弦ほど強い「テンション」が必要なのはピアノを見れば明らかです。

ピアノは音程ごと、弦ごとにスケールを変えています。

最近流行りのファンドフレットはこの考え方を持ち込んだものですね。

 

と、考えたところでじゃあ低音弦側ほどきつい角度になる設定にすればいいんじゃないか、というのがこのデザインでした。

テンションという単語が示す3つの意味6

 

 

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この意味でのテンションが緩い(角度がついていない)と、弦の振動を妨げる方向の張力は相対的には少ないので倍音は増えます。

 

しかし、緩すぎるとボヨンとした弦振動になり、出音も張りのないものになってしまいます。

 

だからと言って角度をつけすぎると倍音の少ない基音が目立った味気ない音になってしまいます。

 

 

張りすぎず、緩すぎず、適切な「テンション」を与えることが大事ですね。

楽器のデザインにおいてはここでいう「テンション」をいかに操るかが重要です。

 

 

 

ギターやベースの弦の張力ってどれくらいだと思います?

 

ギターのライトゲージで40kg前後

4弦ベースで80kg前後

 

なんだそうです。

 

それだけ大きいものなので、角度が1度違うだけでも大きな違いになります。

 

 

そう考えると弦選びやブリッジ選びもまた違ってきませんか?

 

ギターの最も面白い要素の1つ、テンションの話でした。

 

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