自分でできるギター、ベースの弦高調整の方法

こんにちは、嵯峨です。

今回は弦高の調整方法や見方、サウンドの変化について詳しく書くのでぜひ目を通してみてください。

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目次

 そもそも弦高って何?

弦高とは弦とフレットの隙間の距離を指す言葉です。

「12フレット上で弦高が~mmです」のような商品説明文をデジマートなどでよく見ると思いますが、これは詳細に言うと「12フレット上でフレットの上端から弦の下端の距離が~mmです」ということです。

この弦高の調整で弾きやすさやサウンドの質、ピッチ感などが変わります。弦高1つにたくさんの要素が詰まっています。

 

弦高の見方

 

絶対に間違えてはいけないので弦高の見方です。

まずはこちらの道具をご用意ください。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

15cmスケールと呼ばれる、リペアマンの定規です。これを指板と並行に弦と直角にフレットの上に立てます

見る部分は12Fだとしたら12Fの真上、そこにスケール立てます。そして、弦の下端にあたるメモリの真ん中を読む。

メモリの端っこではなく、真ん中、これが大事です。

001

弦高が2mmなのはAとBのどちらでしょう? 正解はAですね。

Aはメモリの真ん中を弦の下端が通過しています。一方、Bはメモリの上端を弦の下端が通過しています。メモリ自体に太さがあるため、これくらいの細かさで見ていく必要があるわけですね。

ちなみに、通常のスケールはメモリの刻みは細かい部分で0.5mm単位ですが、リペアマンはこのスケールを使って大体0.1mm単位まで判別をつけます。0.5mmのメモリの隙間を読む、まさに行間を読むとはこの事です。

照明の当たり方によって見たい部分に影が出来る時があります。見えづらい時は携帯の照明を使うのもオススメです。

弦高の調整方法

弦高の調整をするための準備が2つあります。それはチューニングと、ネック調整です。

チューニングは必ずいつものチューニングで行います。ドロップならドロップ、レギュラーならレギュラー。

ネック調整の加減はプレイヤーや楽器によって様々ですが、ある程度画一的に正しい範囲は存在します。

チューニングとネック調整をまずは行い、それからブリッジの駒の高さ、つまり弦高を調整します。駒の高さの調整の為の機構はブリッジによって複雑なものもありますが、ここでは一般的な物を例に挙げて説明します。

最も一般的なタイプだと六角レンチでビスを回し、駒の高さを調整します。ビンテージタイプだとマイナスドライバーで回すものもあります。

ここで大事なポイントが3つあります。

1つ目

ぴったりにあっているレンチで回す事です。微妙にサイズが違うと、穴がなめやすいために最終的には回せなくなってしまうことがあります。

2つ目

駒はブリッジに対して平行を維持してください。これについては写真で説明します。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

こちらの画像のブリッジは駒が平行にそろった状態です。ここから3弦の弦高をあげてみます。

こんな事になっちゃいました。駒が傾いています。多くの場合は2つのイモネジを使って駒の高さを調整する事になりますが、片方のイモネジだけをいじってしまうと駒が傾いてしまいます。

これでは見た目通り、弦の振動はロスしそうですよね。精神衛生上も良くないです。自分で弦高調整にチャレンジした結果、この状態になってしまっているベースは実はとても多いです。

駒は並行、これ鉄則。

3つ目

チューニングです。弦高を変えたらチューニングをしてからスケールをあててください。弦高の調整に限らず、どの部分の調整をするにしてもチューニングは正しい状態で行うことが大事です。

チューニング、大事

ピッチ悪い、カッコ悪い

 サウンドの変化と傾向

弦高の高さによって、サウンドは変わりますこれはとてもロジカルに原因が見える部分で、例えば弦高をあげた結果ベースの状態が変わる部分は大きく4つあります。

1、駒の高さ

2、弦が張られた時のボールエンドから駒への角度

3、弦とピックアップの距離

4、弦とフレットの距離

3の弦とピックアップの距離はピックアップの高さを調整する事で適当なセッティングが可能ですが、その他の1、2、4は弦高の高さに依存します。駒が高くなり、ボールエンドから駒への角度が変わると弦のテンションの掛かり方がボディ向きになります。

テンションについてはよかったらこちら御覧ください。

テンションという単語が示す2つの意味 - Geek IN Boxテンションという単語が示す2つの意味 – Geek IN Box

こんばんは、嵯峨駿介です。 テンションってよく聞く単語ですが、これなんなんでしょう。知ってます? ギター業界で最も誤解を生みやすい単語といっ…

 

このテンションの掛かり方や弦とフレットの距離によってもサウンドは変化します。例えば弦高が2mmのポジションで押弦した場合には2mm分弦をチョーキングしている状態になります。つまり弦高によってピッチ感までもがかわり、弦に掛かるストレスも全く事なってきます。

これらについてサウンドの違いを端的に表現すると、弦高が低いとより倍音が豊富でシャープなサウンドに、弦高が高いとより基音が強くどちらかというとまるめの音になります。

弦高調整の後には必ずPUの高さを調整して、オクターブチューニングをして完了です。

まとめ

いかがでしょう。弦高調整の作業にはこれらの要素が複雑に絡み合っています。演奏性、サウンド、楽器の状態、プレイヤーの特性の最大公約数的な部分を探し当てる作業です。

ぜひ自分の楽器の調整にもチャレンジしてみてください。


エレクトリック・ギター・メカニズム 完全版 (リットーミュージック・ムック)



 

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4件のコメント

  1. 弦高の見方の2つ目の画像のイラストで、どのように見ているのかわからないです。
    黒斜線の部分が弦なのかフレットなのか定規なのかわかりません

    1. 確かにそうですね。訂正しました。ありがとうございます。 嵯峨

  2. 弦高を上げると低音が出るという理屈が未だにわからない。
    ローアクション好き・・・というか弦高が低くないとまともに弾けない軟弱者なんで気になるところです(笑)

    1. 弦高を上げると低音が出るわけではありません。
      ただし傾向として、弦高が上がっていると倍音は減り、基音が強くなります。弦高が低いとその逆ですね。
      一般的に、ベースの場合弦高はある程度低い方が(1弦で1.5~2.3mm程度)メリットが大きいと思います。個人的にはですが。 嵯峨

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